レポゼッション・メン


公開初日、新宿武蔵野館にて観賞。



人工臓器ビジネスが発達した近未来。高額ローンの返済が滞れば「回収人(レポ・メン)」が体を切り裂き臓器を取り上げる。レミージュード・ロウ)は腕利きのレポ・メンだったが、とある事件により人工心臓を埋め込まれ、追われる身へと転落する。


最高に面白かった!「逆予告編サギ」って感じ。
「大企業の陰謀を暴く」話かな?と思ってたら、もっと個人的なストーリー。ああいう、自分の都合だけで突っ走る主人公って大好き(笑)
予告編にある、ジュードがナイフ二丁構えての大立ち回りも、本編で観ると気持ちが乗りに乗る(このシーンに限らず、音楽も最高)。しかも、そうしたクライマックスのバカっぽいシーンの全てにつき、最後には「なるほど」と納得がいく。


前半は「マッチョな社会では、波に乗ってるうちはいいけど、落ちこぼれるとえらい目に遭う」、後半は「追うプロが追われる身になる」という話。
人工臓器を扱うユニオン社いわく「我が社の人工臓器を移植すれば、これまでのように人が死ぬのを待つ必要はありません」。ポリティカル・コレクトネスを重視する上司。dirty workに携わるレポ・メンは客の前に姿を見せず、高給取りながら倉庫のような控え室から出勤する。ジュード演じるレミーは「仕事は仕事」を信条としていたが、とある事情を経て変わってしまう。しかし周囲は「変化」を許さず、孤立を余儀なくされる。
後半はそんな彼の逃亡&大逆転劇。ちょっとした彩りだったユーモアセンスも影を潜める。潜水艦映画好きとしては、ソナー音を思い出してちょこっとわくわくする場面あり。
同じ「追われる身」だから心が通い合う…というのも単純な話だけど、作中では、人工臓器を持つ者のほうが「人間的」に描かれている。それを持たないレミーの妻が、「サロゲート」(感想)のロザムンド・パイクを思わせるつるつる顔なのに対し、人工臓器を10個持つベス(アリシー・ブラガ)は熱と汗を感じさせる容貌。鼻の穴ふくらませて頑張る姿が頼もしい。また、着のみ着のままで逃げてるんだから当然だけど、後半のジュードは、一瞬ジャン・レノにも見えた(笑)


ジュードの「相棒」フォレスト・ウィテカーの左右大きさの違う目に、不吉な予感を抱きつつ、バディものなのか?そうじゃないのか?やっぱりそうなのか?と心乱される。
ラストは「映像の乱れ」くらいに止めておいたほうがスマートだよなあと思うけど…あれはあれで面白いかな?