最近観たもの


▼ミッシング〜消された記憶〜


ミッシング~消された記憶~ [DVD]

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ジャケ写(↑無いけど…)から想像されるようなサスペンスものじゃない。主人公は銀行に勤め独り暮らしするジュリア(シガニー・ウィーバー)。街で知り合った若い女性(ケイト・ボスワース)に、16年前、公園で姿を消した娘の面影を見て、自分の家に住まわせ面倒をみる。


ケイト・ボスワースのキャラクターが、この手の話にありがちな「『奔放な魅力』で観る者を惑わす」というんじゃなく、普通の女の子なので観易い。
シガニーの方も、彼女が演じてるからといって「強い女」ではなく、ごく普通の人間。そもそも身内の失踪などといった類の大事件に見舞われたら、その後の人生はどうなるんだろう?息子の結婚パーティでの「二人(息子夫婦)の助けを借りれば、私も変わることができるかも…」というセリフが印象的。そう言ったっていいんだ。


ケイトは部屋を借りた晩から男を連れてくる。その音で目覚めたシガニー、どうするのかと思ったら、自分に気のある同僚の部屋に出向いてさっさとベッドへ、というのがいい。彼の下で思わず笑ってしまうシーンには、ちょっとオゾンの「まぼろし」を思い出した。翌朝のガールズトークも可笑しい(笑)


▼猫が変じて虎になる


先日神保町シアターを訪れた際、これも落語映画と知ったので観に行った。「らくだ」がうまく使われており、言うなれば「タイガー&ドラゴン」の一話みたい。


62年、春原政久監督作。ニコニコ生命保険の営業社員・久六(小沢昭一)が「寿市」に出張するものの、老人たちは銘酒のおかげで皆元気、保険に用はない。おまけに町のボスが依頼した殺し屋(長門裕之)と間違えられ、騒動に巻き込まれる。


冒頭に出てくる東京駅や列車の様子がまず楽しい。着いた先には「秋山渓谷」「五日市」とあるので遠出じゃないけど、当時ならちょっとした旅行だ。訪問先のおやじが畑?を観ながら酒瓶片手にドラム缶の風呂に入ってるのがいい。


村人たちが殺そうと画策するのが、迷惑者の「らくだ」(由利徹)。といっても「長屋住まい」なわけじゃないから落語のそれとは迷惑の種類も違い、他の事情もある。実は長門と「兄弟」だった彼がふぐをたいらげるシーンに、場内は抑えられない笑いの渦。小沢昭一の「猫」から「虎」への豹変ぶりも見事だった。