カイジ 人生逆転ゲーム


試写会にて観賞。終了時に拍手が起こってた。私も楽しかった。
藤原竜也と松ケンが並んで鉄骨渡るシーンを見られただけで嬉しいかも・笑)



30目前のフリーター・伊藤カイジ藤原竜也)は、知人の借金の保証人になったことから多額の負債を背負わされ、半ば強制的にギャンブルクルーズに参加することになる。


原作のギャンブル「限定ジャンケン」「鉄骨渡り」「Eカード」、間に地下労働の部分を挟んで映画化。身体的に残酷な部分はカット。
展開は早く、冒頭数分でカイジは「エスポワール」に乗り込む。一試合に掛けられる時間も短いけど(ほぼリアルタイム進行)、内容をうまく省略・変更してるな〜と思った。もっとも次から次へと繰り出す(繰り出さざるを得ない)戦略や、「本当の敵」を討つための命がけの戦い、という部分も削られているため、カイジのキャラクターはごく普通の青年といったふう。


全体の印象は、悪い意味でなく「藤原竜也一座の公演」といった感じ。冒頭に相対する天海祐希を始め、出てくる誰もかれもが、彼の周囲で舞台っぽい演技をする。皆上手いし、荒唐無稽な話だからそのほうが観易い。藤原竜也の現実味の無さ、痛めつけられてもあまり悲惨でない、くさってもどこか愛嬌のある雰囲気も合っている。


漫画「カイジ」から私が受ける第一の印象は、「自分で考えて自分で決めることが何より大切」ということだけど、映画にそういう要素はない。ギャンブルでしか味わえないであろう心の動きもそう描かれない。
その代わり、鉄骨上でのカイジと石田のおっさん(光石研)とのやりとり(それだけ喋れるならもっと頑張れと言いたくなる)や、Eカード対決に臨むカイジに対する労働者達の応援(これは有り得なさすぎ!)、搾取側へのカイジの叫び(何を言ってるか所々分からず)など、「仲間との心のつながり」「非情な人間に対する非難」といったものが盛り込まれている(だから奴隷が皇帝を討つという「Eカード」の仕組みがやたら強調される)。
更には遠藤(天海祐希)がかなり大きな役割を果たす。このキャラクターのおかげで、映画はさわやか・ほのぼのともいえる終わりを迎える。


原作とは関係なく、細かなことながら引っ掛かる場面も色々あったけど、一番気になったのは、鉄骨渡りのシーンにおいて、参加者が「俺も」「俺も」と言いながらチケットを掲げる場面。どう考えても変だ。


漫画の「比喩を実際にやってるコマ」(「泥沼にはまる」というので沼にはまったり、「煮え湯を飲まされる」というのでお湯飲んだりしてる絵のこと)が映像になったら面白いなと思ってたけど、それはなかった(笑)