チェイサー


シネマスクエアとうきゅうにて観賞。「映画は映画だ」(感想)の際に流れた予告編に興味を持って観に行った。サービスデーでもないのにかなり混んでいた。
上映後にエレベーターで一緒になったおばさま二人が「もうほんとに!警察は!」とぷりぷりしてたので、映画としてとても成功してると思う(笑)



元刑事のジュンホ(キム・ユンソク…「ヨコヅナ マドンナ」(感想)の父親)が経営するデリヘルから、女性らが姿を消していた。目をつけて追った客のヨンミン(ハ・ジョンウ)は、二人して連行された先で殺人を自白。警察は当該地区の連続殺人事件との関連を確信し捜査を行うが、証拠が出ない。「最後の一人は生きている」との言葉に、ジュンホは町を駈ける。


起こっていることを手際よく示すオープニングにわくわくさせられる。ちょっとイーストウッドの「ミスティック・リバー」を思い出した。
また、韓国ってああいうやり方なんだ〜(女側が自分の車を出すとか、ホテルに入るのにあんな路上・縦列駐車しなきゃいけないとか。日本でもそういう場合があるのかな?)というのが単純に面白くもあった。私も何度も知らない人の車に乗ったけど、客観的に見るとおそろしいことだ。


その後は、映画の面白い要素を全て味わうことができる(ただし「かっこいい男」は除く・笑)。
ジュンホとヨンミンは作中早々に顔を合わせ、最後の最後まで、肉体的に何度もぶつかり合う。どのシーンもリアルで痛い。
一方、(私の偏見からすると)いかにも韓国らしい「上の者にはへこへこするが、出来る限り好き勝手する」というたくましさが現れた、コミカルな場面も多い。あらすじからは想像できないだろうけど、劇場では何度も笑いが起きていた。例えば二人の初対面における一波乱の後ジュンホが戻ってみると、二台の車で通行止めになってしまった路上ででわいわいやっている住民たち(勝手に車に乗り込みハンドルを握ってる者も・笑)や、意見の相違から殴り合いを始める警察署員たち。他に、ジュンホにこき使われる舎弟の情けなさやボケぶりも可笑しい。暴力シーンについても、他のデリヘル経営者を訪ねた際のジュンホの一撃には爆笑してしまった。
さらには「最後の一人」であるミジンの幼い娘がジュンホに同行することになり、センチメンタルな雰囲気も醸し出される。


ヨンミンの尋問のために呼ばれた心理学者?のじいさんの嫌らしいこと。「常識的」な人間との接触により、それが通用しない犯人の怖さが浮き彫りになる、というのは映画によくあるパターンだけど、そうならない。全ての人間(というか「男」たち)は普通っぽく、そうでもなく、賢くもあり、間抜けでもある。


作中描かれる警察の無能ぶりは、かなり大げさだ。「血じゃないか…?」「キムチの汁だろう」というやりとりなんて、冗談でもなきゃ怖すぎる(笑)