SHINE A LIGHT シャイン・ア・ライト



「長く続ける秘訣?…運が尽きないだけさ」



私はストーンズにはあまり詳しくない。知ってる曲のイントロのリフを聴いてもピンと来ず、何だか分からない。黒人音楽体質じゃないとか、ベース主体じゃないからとか、理由はたぶん色々だろう。でも聴いてると気持ちはいい。


冒頭、本番が迫りながらセットリストを作り上げないミックと、「最初の一曲だけでも」と困り果てるスコセッシとが交互に、しつこく、わざとらしく映される。ミックのほうが飛行機の中で優雅な曲をバックにリストを確認してるのに対し、映画製作者側がストーンズの曲を流しながら話し合ってるのが可笑しい。でもって大きなプロジェクトであるがゆえに、おそらく誰のせいでもなく?セットが訳のわからないものになっている(ミックが「ドールハウス」と言うジオラマ風のセットの模型がちゃちくて笑う。日本人なら精巧に作るだろう!)
続けて当日の映像。本番前にクリントン一族と挨拶し合うメンバー。その後スコセッシの一言でライブが始まる。合間に昔のインタビューやニュース映像がちょこちょこ挟まれる。ポシティブでシンプルな内容のものばかりだ。ちょっとがくっと来たラストシーン(笑)に至るまで、明るくカラッとした雰囲気で、見ていて気持ちがよかった。


ライブ映像は楽しく、昔の映像では、ミックの顔の可愛らしさに改めて心を動かされた。
観ているうちにふと、日本でも以前、ストーンズにあこがれて似たようなことしてたバンドがいたなあ、などと思い出した。なぜかというと、ミックのステージングが、まさに彼のエッセンスを凝縮したようなものになってたから。普段ものまね芸人の方ばかり見ていて、久々に本人を見たらそれ以上にクドくてびっくりした、というかんじ。


ミックといえば、ぴたぴためのシャツに長いコート、加えて羽根というのがイメージなので、最後にそれっぽいかんじの上着を着てくれたのは良かった。肘をあげる歌い癖のおかげで、腹もよく見える。観賞後のトイレではおばさま二人が「懐かしかったわね〜」「ミックは体脂肪率が少なそうでいいわね〜」という語らいをしていた。
キースは本当に気持ちよさそうで、ストーンズの曲は自らの快感のために作ってるんだなと改めて思った。
チャーリー・ワッツは相変わらずチャーミング。60年代からずっと、あの持ち方、あの叩き方だ。あの年であれだけ出来るのはすごい。
ロン・ウッドのことはよく分からない。運のいい人だな〜と思う。



ストーンズのライブ盤を聴きたいなと思って(itunesには入ってないので)棚を見てみたら、64・65年録音の「Rough,Dirty and Irresistible!」というブート盤があった。なぜこれを持ってるのか分からないけど(10代の頃に買ったか貰ったかしたんだろう、たぶん)、ブライアン・ジョーンズのいる頃の写真は雰囲気がいいので好きだ。バンド内のいろんな要素が混じり合い、引き立て合ってるかんじがする。
当時のオフィシャルカメラマンの作品を集めた写真展「The Rolling Stones : out of their heads」(ギャラリーサイト内ページ)はちょっと、覗いてみたいな。