最高の人生の見つけ方


偶然同じ病室になった、大富豪の実業家エドワード(ジャック・ニコルソン)と自動車整備工のカーター(モーガン・フリーマン)。余命6か月の二人は、生きているうちにしたいことを「bucket list(bucket=棺桶、に入る前にしたいことリスト)」(原題)に書きとめ旅に出る。
(以下、観る前に読むとつまらなくなるおそれがあります…)



ジャック・ニコルソンモーガン・フリーマンが死ぬ前に豪遊する話…おやじが泣いたり笑ったりで、ちょっとうんざりするかな?と思ったけど、セリフの応酬も面白く、楽しかった。ニコルソンが登場したとき、なぜかディカプリオに見えてしょうがなく、顔だけなら将来あんなふうになるかもと思わせられた。


観終わって一番に口に出たのは「あの人、遺産もらえたのかな?」。ニコルソンの秘書、彼がいなかったら面白さも半減だったろう。二人のやりとりが可笑しい。


二人が出し合った「死ぬ前にやりたいことリスト」の項目は、「荘厳な景色を見る」「他人に親切にする」「スカイダイビングをする」「世界一の美女にキスをする」…などなど。それらを、手を取り合って完遂するわけじゃなく、できる方ができるときに、また思いついたようにこなしていくラフさがいい。
スカイダイビングは私もやってみたいと思わされた。モーガン・フリーマンが憧れのマスタングに乗ってぶち切れるシーンもいい。観衆のないレース。それが快感であるということは、本当に自分のために生きてるんだなと。
ちなみに二人はニコルソンの飛行機であちこち移動するんだけど、機内は快適そうなのに寝てばかりで(ニコルソンは他のこともするけど)、余計なお世話ながら何かして遊べばいいのにと思ってしまった。年をとるとやっぱり、活動の合間に休まなきゃいけないのかな。


私は世界一高価なコーヒー「コピ・ルアック」について知っていたので、冒頭ニコルソンが法廷で弁護士に勧めるシーンでは、彼が飲み終えた後にそのことを言ってからかうのかと思った。でもって散々引っ張って、リストの一項目である「涙が出るほど笑う」のオチになる。あれだけ愛飲していながら知識がないだなんて、さすが成金だなあ(それに対してモーガンや私のような庶民は、そういう知識だけはある)。秘書は果たしてそのこと、知っていたんだろうか?(笑)


独身のニコルソンに対し、家族を持つモーガンは、死期が迫りながら他人と旅に出ることをよく思わない奥さんと仲互いしたまま旅に出る。後日彼女はエドワードに「夫を返して」と電話してくるが、「夫のためでなく私のために」と言う。自分の感情をストレートに表現するタイプで、観ていてすっきりした。久々に帰宅したモーガンが彼女をダンス&ベッドに誘う際、後ろからお尻に手を添えるのもいいなあと思った。
ニコルソンはモーガンの奥さんと初対面の後、「彼女は俺のこと嫌ってるな」と言う。このセリフをさらっと言えるのがニコルソンの個性だ。彼は作中コールガールを何度か呼ぶが、金を支払わなければ彼と時間を過ごしたく思う「ガール」はいないだろう。でもそれでいい。ある意味で必要とされればそれはそれで良いものだし、されなくても自分がよければそれでいい。そういう姿勢って大事だと思った。



「まったく、俺の言うとおりにしたためしがないんだから…
 お前が正しいんだけどな」
  (カーター、「逝ったら渡してくれ」とことづけた手紙をさっさとエドワードに渡してしまう奥さんに対し)