ジェリーフィッシュ


シネ・アミューズにて観賞。


地中海に面したイスラエルの都市。結婚式場でウエイトレスとして働く女性、その式場でケガをして新婚早々地元のホテルに缶詰めになる女性、フィリピンから出稼ぎにやって来た介護ヘルパーの女性、3人の数日間が描かれる。



それぞれの日常が交差する、よくあるタイプの映画だけど、異国の人々の暮らしぶり、その顔、印象に残るいくつかの場面、海と空が見られるだけで楽しい。物語は「結末」を迎えず、家族や生死にまつわるエピソードの中で、主に海にまつわる幾つかの物事や文章が繰り返される。


フィリピン人の女性にとってイスラエルは「海が終わるところ」にある国。彼女は作中、ヘブライ語が話せないこともあり、言葉による意思表現をしない(一方彼女に仕事を頼む「女優さん」などは、脇役だがかなり唐突に母親に胸の内を告げる)。分かったふりをしない、作り手側の真摯な態度を感じた。彼女の持っている、安っぽい白いバッグがよかった。


始めと終わりには「バラ色の人生」のカバーが流れる(冒頭はちょっと「ウェディング・シンガー」を思い出してしまった・笑)。エンドクレジットでは丈が合っていなかった。そういうのはあまり気にしないんだろうか。
それから、本場?の固そうなベーグルが出てくる。私からすると、海辺では相当もさもさして食べにくそうだ。


観終わってロビーのポスターを眺めていたら、フランスとの共同制作で、撮影はフランソワ・オゾンの「まぼろし」を手掛けた人だった。海はやはり幻想的で美しかった。
フロアでは「クラゲ写真展」も開催されていた。撮影された江ノ島水族館は、国内でも早くからクラゲの展示に力を入れているところ。訪れると水槽の横に「漂うだけのクラゲと人間と、どちらが賢いと言えるでしょう?」というようなコピーが掲げられている。映画ではタイトルに使われている他、実際のクラゲも映像に出てくる。社会や状況に流されるそれぞれの人生を象徴しているんだろうけど、少なくとも映画を観る限り、それもわるくないように感じられた。