週末の記録



金曜の夕方、カーネル・サンダースの誕生日というノボリを目にしたので、小腹満たしにケンタッキーへ。チキンとフレッシュサラダに、「次世代店舗」限定の「贅沢サイズのサクサクシュー」。確かにサクサクだった。



土曜日は有楽町に出たので、お昼ははまの屋フルーツパーラーにて。満席の店内でサンドウィッチセット、卵+フルーツと、ハム+野菜。いつも通りの味。
映画まで時間の余裕があったので、増床1周年祭開催中の銀座三越に足を伸ばす。モロゾフ銀座プリンの記念商品「銀座プリンブッセ」と、SOLAのカリフォルニアシフォンケーキ×3種(バニラ、チョコ、柚子)を購入。どちらも軽く食べられた。


日曜日のお昼は、もらいものの鯵の干物を焼いて、今年最後の冷汁。美味しかった、ごちそうさまでした☆

ゴーストライター


ヒューマントラストシネマ有楽町にて。公開3週目にして満席。とても面白かった。



冒頭、役名「ゴースト」のユアン・マクレガーが出版社に面接に行く場面からわくわくさせられる。隣にはくだけた姿勢でソファに沈む調子のいい代理人。「(売りは)ないです」でスベるも仕事の速さと「ハート」をアピールするユアン。最後に「ハートだぞ!」とこちらをのぞきこむ編集長のアップが不気味。力加減も考えも噛み合っていなさそうな社主と編集長のコンビの、何かありげな感じがいい。
その後、舞台はアメリカのとある孤島に。クラシカルな音楽も手伝って、なんだかすごく懐かしい、昔っぽい感じがする。これぞ映画!という感じのカットがかっちり丁寧に積み重ねられていく。ユアンの後頭部〜肩をなめて他の人物の動きを捉えた映像が多く、起きていることがよく分かる。ポランスキーの映画って、「こっちこっち!」「→」とばかりに奥で何かやってる人を捉えた画が多いような気がする。


ユアンの主演により、私にとって本作の面白さは100倍増になっている。大したことないコメントを作ったことでオリヴィア・ウィリアムズ演じる夫人に「あなたも共犯よ」と言われ、弁護士との会合の場に出る。テレビの前に座っていると皆がニュースを観るというのでどくはめになり、ソファの肘掛に腰を下ろす。この場面をやらせたら、ユアンは死ぬまで世界一だろう。
フェリーの二階から怪しい男たちを見下ろす表情、前任者の荷物が残る部屋で手を股間に挟んで座る姿。「フィリップ・モリス」ほどじゃないけど、あの年でセーターの袖が長いのが似合う可愛コちゃんぶりもすごい、眼福だ。
掃除夫に押し付けられた帽子と手袋を使うはめになり、匂いを嗅いで顔をしかめる。笑っちゃうシーンだけど、ゴーストなりに生意気にも!不愉快さを感じることもあるというか、ああいう場面っていい。


前首相を演じるピアース・ブロスナンもはまっている。同じ「英国人」でありながら、「ゴースト」と似ているところもあれば、違うところもある。ユアンいわく「オリンピックにでも出るのか?」というほど運動に精を出し、汗だくのトレーニングウェアのまま、セロリを刺した野菜ジュース片手に登場する(弁護士の前では着替える)。自家用機の中で二人が対峙するシーンの面白いこと。


孤島が舞台なので飛行機やフェリーがしょっちゅう出てくるのもいい。始めの方の「飛行機が雲の中をゆく」カットには気が抜けたけど、それ以外の飛行機・フェリーはどれも素晴らしかった。

ミケランジェロの暗号



「昔の彼だけを記憶にとどめることにしよう」
「こうも考えられるわ、ナチスにもいい人はいるって」



1938年のウィーン。ユダヤ人の画商の息子ヴィクトル(モーリッツ・ブライブトロイ)は、かつての使用人の息子で幼馴染のルディ(ゲオルク・フリードリヒ)に、父が秘かに所有するミケランジェロの絵を見せた。その後、ナチスに入党したルディの密告により、ルディ一家は絵を奪われ収容所送りとなる。ベルリン本部はその絵をムッソリーニとの取引に利用しようとするが、贋作であることが発覚。ヴィクトルは本物入手の命を受けたルディに囚われる。


とても楽しかった。面白い話が手堅く撮られている。最高に豪華なテレビドラマという感じ。だってあのラストカットは「映画」じゃない、悪い意味じゃなく。
原作・脚本のポール・ヘンゲは「僕を愛したふたつの国/ヨーロッパ ヨーロッパ」の脚本家で81歳のユダヤ人。本作は一応ナチスものだけど、いわゆる「反戦もの」でもなければ、ユダヤ人の主人公はたんなる「被害者」でもない。あの時代を舞台とした活劇だ。「優秀なアーリア人は無敵なんだろ?」「痛いものは痛い!」/「スイスで逮捕されたの、どんなに嬉しいか分かる?刑務所には入るけど、収容所に戻らなくていいのよ」など、セリフの数々が効いている。


ヴィクトルを演じるモーリッツ・ブライブトロイ、最近どこかで見たな〜と調べてみたら「ソウル・キッチン」で主人公の兄の役だった。あの顔には「ソウル〜」や本作のような泥臭い笑いが似合う。彼の母親役に「ブラック・サンデー」のテロリストのマルト・ケラー、収容所入り後の短髪姿が印象的だ。
裕福なユダヤ人と貧乏なアーリア人の立場が逆転、後者は幼馴染に対しずっと屈折した思いを…と字面だとねっとりした話のようだけど、実際にはさらりと明るい。ルディは悪になり切れない間抜けだし、ヴィクトルは機知に富み前向きだ。これも偏見だけど、屋敷で「絵」が見つかると同時にとある知らせが舞い込んだ時の立ち回り方など、いかにもユダヤ人という感じで感心させられる(笑)


キーの一つが「ナチスの制服」。入党したルディが包みを抱えて狭い自宅に文字通り跳んで帰る場面がまず印象的だ。窮地に陥ったヴィクトルが彼から制服を奪うと、昔ながらの物語、それこそ「王子と乞食」のように、二人の立場は逆転する。
ヴィクトルと元婚約者のレナが制服姿で久々に再会する場面も面白い。お互い反ナチスなのに、制服同士なのは悪くない、といった感じ。「まだ着てるの?」と言われた彼は「まだ必要なんだ、まだ」と答える。


原題は「Mein Bester Feind」=わが最高の敵。邦題となっている「ミケランジェロの絵」は、鑑定家が「鑑定」する時以外、誰も大して見もせず、皆が振り回されるだけ。私は美術品って、あってもいいけどなきゃあないでいいと思ってるから、そこが明快で見易かったけど、ミケランジェロに興味のある人はどう感じるのかな?