遊雀式 第五回


開口一番(三遊亭遊かり「動物園」)
桂三木男「だくだく」
三遊亭遊雀「薬違い」
 (中入)
三遊亭遊雀「鰻の幇間
 (5/28・日暮里サニーホール)


落語会において、噺家さんが互いの高座の内容をネタにするのを聴いた時に感じる、メタ感による奥行は、子どもの頃に読んでた「りぼん」で漫画家さん同士が言及し合ってるのを見た時の気持ちに近い。落語の場合、「ナマ」ならではのグルーヴ感も加わる。
この会のように前座→二つ目→真打(というかメイン演者)という流れの場合、他をいじれるのは最後に登場する噺家さんだけだけども。この日は遊雀さん、二人のネタを拾いまくり。なんたってネタ下ろしだった「薬違い」の導入部は、直前に三木男が演った「だくだく」と全く同じなんだから(笑)ちなみに「だくだく」は私にとって色々な所作が見どころなんだけど、彼はまだ若いな〜と思うも、やりを持ち出す仕草なんてきれいだった。
「こっちは同じ『先生』でも落語の世界じゃ一番の名医(?笑)薮井竹庵」がくれたのは、「祖父は紺屋の職人に、父は搗き米屋に処方したという」惚れ薬(「あれは解せないな〜と思ってたんですよ!」笑)。枕で「独演会というのは寄席で披露できるかもしれないネタを掛ける場所ですから、笑えるかどうか分かりません」「皆さんも昨日今日の客じゃないんだから!」なんて言い訳で笑いを取って始めたこの噺、初めて聴いたけど、遊雀さんにぴったりで楽しかった。


中入後は、ネタ出ししていた夏の噺「鰻の幇間」。お馴染みの「幇間とは」の枕、正直耳にタコって感じだけど、遊雀さんがやると笑えちゃうんだからすごい。しかも本編中ふとこのやりとりを思い出し、確かに「枕」だと思う(志ん朝いわく「これをやるのはダメな幇間」だけど、これはまさにダメな幇間だもんね・笑)きゅうりのおしんこを食べての「酸っぱい!」に場内爆笑。隣の部屋には「だくだく」の家具が、今の部屋にはやはり「だくだく」の掛け軸が掛かってることに(笑)
遊雀さんのは、騙されたと分かった一八が鰻屋の女中相手に延々と文句を言うのがメイン、とはっきり分かるパターン。お得意の「泣き」も取り入れての一幕は最高。


ところでこの日、事前に同居人と「英語で『文句を言う』ってどういうんだっけ」という話になったのだった。会が終わってみれば、テーマはまさに「文句を言う」。もっとも落語には「文句を言う」ネタが多いけど(笑)ともあれ、こういうのって面白い。