マイウェイ 12000キロの真実



終盤チャン・ドンゴンが「僕たち遠くへ来たなあ」と言うんだけど、そりゃそうだ、145分もあるんだから!いちいち言うことじゃないだろ、と思う。


開始早々「コケるデブ(彼が一番「美味しい」役だった)」「冒頭からクライマックスみたいな音楽」「ぐらぐらする映像」と、韓国映画らしさが存分に味わえる。マラソン選手二人が12000キロ走って移動する話だと思い込んでたので拍子抜けしたけど、戦闘シーンの他、「機関車」「冬山」など好きな要素が薄く盛り込まれてることにも助けられ、長丁場を乗り切った。


オープニング、マラソンレースの映像のあまりのしょぼさにテンションが下がるも、明らかにオダギリジョーと分かる背中に「無名の韓国人選手が…」というアナウンスがかぶるので何だろう?と興味を惹かれる。次いで幼少時代の子役に、こんなガキがオダジョー様になるわけないだろ、と憤慨するも、意外にするっと当人につながる(笑)しかし、当初は消えたと思われたオダジョー様の威光も、捕虜となると、森ガール的に言うならば「収容所ボーイ」って感じで復活するのだった。ボロが似合う。


チャン・ドンゴンが「俊足を活かす」「個人戦」だと、どうしても、よくも悪くも「アクション映画」と受け止めてしまうけど、「集団戦」、例えば特攻しようというところに奇襲を掛けられる場面や、ソ連軍となってドイツ軍と戦う場面などには、戦争の「真実」…そんなもの知りもしないのに…が確かに「在る」ような気がした。戦闘シーンは見どころだ。


オダギリジョーの父親(佐野史郎)は「祖国より人間のことを考えろ」と言ってのける医者で、息子をドイツに留学させようとする。当のオダジョーは「国の役に立たなければ」とそれをはねのけ、更にはある「事件」を経て、今の目で見れば「お国きちがい」になっていく。「天皇の赤子」なんてセリフにびっくりするけど、当時はそれが「普通」だったんだろう。
そんな彼が、数奇な運命を経てありえない変化を遂げるというところが面白いんだけど、話のせいか役者のせいか、いまいちぴんとこない。直接的には「ソ連軍にならなければ殺す」と銃を突きつけられる場面が切っ掛けなんだけども、随分あっさり描かれてたので残念だった。