戦火のナージャ


ニキータ・ミハルコフの「太陽に灼かれて」('94)に続く、三部作の二作目。「太陽〜」は昔観たもののほとんど覚えておらず。かりに未見でも支障ないように思う。



KGBの幹部ドミートリ(オレグ・メンシコフ)と陸軍大佐コトフ(ニキータ・ミハルコフ)との間には深い因縁があった(「太陽に灼かれて」)。43年、ドミートリはスターリンに呼び出され、大粛清の際に処刑されたはずのコトフの捜索を命じられる。彼は、コトフとその娘ナージャナージャ・ミハルコフ)の戦時中の消息をたどっていく。


魅力的な冒頭の一幕(観てのお楽しみ)と、それに続く収容所でのくだりで早くも伝わってくる、過剰なまでのサービス精神。いつの時代だよって感じの効果音、多用されるスローモーション、ケレン味あふれる小道具、ドラマチックに死にゆく人々。予告からイメージしてたようなしんみりした内容じゃなく、語弊があるかもしれないけど、ノリノリの戦争ものだ。スクリーンに大映しされるコトフ大佐=ミハルコフ監督の顔見ながら、映画好きなんだな〜と思う。


「三部作」の真ん中ということもあり、二人を探すドミートリの様子を挟みながら、戦争の末端で起こる出来事がひたすら繰り返されるのみだけど、二時間半、全く飽きずに観られた。
父と娘はそれぞれ奇跡的に生き延びるが、描写の中心は彼らではない。当たり前ながら、戦争においてもこんなに間抜けなことがある!という話が満載。「爆破」シーンなんて、ドリフのコント並みの来るぞ来るぞ感で、橋や機雷のくだりでは、ほんとに声出して笑ってしまった。