ポップコーンとダンス


台所の扉をあけたら、ポップコーンの買い置きがあった。ガスコンロの上で降って作るやつ。

ジョン・セイルズの「リアンナ」に、いまの私と同じくらいの年齢の主人公・リアンナが、旦那や子どもと別れて引っ越した先で、彼女を気遣う同じアパートの住人に歓待されるシーンがある。そのとき言われるのが「ポップコーンの音をごちそうするわ」。
日本人の私にはピンとこないセリフだけど、その後「古きよきアメリカン・スイーツ」を読んだら、アメリカ人にとっては、ポップコーンのあの「はぜる音」が何よりのごちそう…と書いてあり、なるほどな〜と思った。


古きよきアメリカン・スイーツ (平凡社新書)

古きよきアメリカン・スイーツ (平凡社新書)


先日、10数年ぶりに「愛の嵐」を観ました。新たに出た「無修正ノーカット版」…というのは、どうでもいいんだけど。

私はラストシーンを「撃たれたダーク・ボガードをかついでシャーロット・ランプリングがずっと歩いていく」と思い込んでいたので、そうじゃない(二人とも撃たれてしまう)のにショックを受けた。よく考えたら、重くてムリだ。
この映画の原題は「The Night Porter」…作中ダーク・ボガードは「昼の光には慣れない」というようなことを言うんで、「夜警」めいた邦題のほうがやっぱりいいように思ったり。



「何が欲しいと聞かれたら ちいさな幸せとでも答えておくわ
 だって幸せすぎたなら 哀しい昔が恋しくなってしまうから」


「愛の嵐」には、ダーク・ボガードを慕い続ける男のバレエダンサーが出てくるんだけど、彼のダンスシーンはやっぱりすごい。尻もモリモリだし。その尻に、ボガードにクスリを打ってもらうときの、うっとりした顔もいい。
でもって、私が思い浮かべる「印象的なダンスシーンのある映画」のひとつが、上に書いた「リアンナ」なんだなあ。画面から鬼気迫るとか、全然そういうんじゃないんだけど、劇場の裏方として働くリアンナの回想と、ステージ上で踊る男女の姿とが、交互に流れるのが、なんともいえず心に響いて…