嫌われ松子の一生


独り暮らしのアパートで惨殺された「嫌われ松子」の一生。

嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)

嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)

松子の人生と、彼女の存在を初めて知らされた甥・笙の行動が交互に描かれるのですが、はじめのうち、甥っ子のパートが私にはオヤジくさく感じられて(恋人のキャラクターなどがどうにもダメで)読むのが辛く、もたもたしてたのですが、なんだかんだいって最後まで読んでしまった。
そういや随分前、とあるミステリー小説を「面白いから!」と家に置いていかれたときも、やはり主人公と恋人との描写がどうにもオヤジくさくって、いつも同じところで詰まってしまって、結局読めないまま終わったっけ。


松子がまず就く教師と風俗嬢というのが、順番は違えど私も両方経験したようなもんなので(嬢ではないけど、似たようなものかもしれないなと/ナンバーワンになってマンションからネオン街を見下ろしたりなんてこともしてないけど・笑/でも「順番の違い」こそ大きな違いかも)少々の親近感をもって読みました。学校の勉強が得意なのと、何をやってもそこそここなすが、すぐ崩れてしまう、というところも自分と似ている。こういうタイプは社会人としては全くダメなんだよね…。大きく違うのは、執着してくれる両親の存在と、男性になかなか入れ込めないところかな。私は自分のそういう要素を、不幸と認識してるんだけども。


最後のほうで笙が「自分はまだ、松子叔母さんが最初につまづいた年齢にも達していない(…のだから、先々どうなるか?)」と気付くんだけど、たしかにそのとおりで、平穏な生活が何年も続くかと思えば、あっという間に、転がるように色んなことが起こったりもするし、わからないもんである。でも、松子の人生、色々あって、面白かったかも、と思いました。