
映画監督が夢のダグ(ジャック・ブラック)が自身の書く脚本について言う「テーマはジェネレーション・トラウマだ」に売れない俳優のグリフ(ポール・ラッド)は「皆好きだもんな!」。皆好きなのか、と思うと同時にもしそうなら、そうとも言えるけど見たことのない内容だった『落下音』はカウンターかと思ってしまった。ダグはそれを女性であるクレア(タンディウェ・ニュートン)演じる主役に体現させようとするも色々あって、初対面のアナ(ダニエラ・メルキオール)に別のテーマを体現させようとするも色々あって、結局は彼が作る映画もこの映画自体もダグとポールの友情と夢の話になる。ある意味その方がよい。
当初ダグの役どころは「自ら犠牲になってクレア演じる主人公を助け、それによって彼女に惚れられる」ものだったが事情により(これもまた最近続けて見ている「誰かのペットが死ぬことで話が進む」映画だった)その要素は無くなり、結局「クライマックス」で身を挺して守るのはダグ、守られるのはグリフとなる。あるいはそれが映画監督の仕事なのかもと思う。そしてある人物にグリフが確認する「俳優仲間を守る」、それが役者の仕事なのかも、そうあってほしいと思う。
「白人版ジョーダン・ピールになれるぞ」とはしゃぐグリフをちらと見るクレアの心は読めなかった(演じるタンディウェ・ニュートンは母親がジンバブエ出身のイギリス人)。「おれにはキャリアも家族もない」への「これからだよ」にはどちらも、できれば後者は自分と作ってほしいという気持ちが明らかで、恋とはそういうものかと思ったり。また、目当てのスティーヴ・ザーンは例によって小ネタの集積役のような感じだったけど、それでもよかった。船上でギターをつま弾くのはポール・ラッドじゃなく彼の方にしてほしかったなと思ったり。