
特集上映「チャールズ・バーネット エブリデイ・ブルース」にて観賞、1977年作品。
「殺しもいとわない奴」を仲間にしようとスタン(ヘンリー・G・サンダース)の元を訪れた男達を怒鳴りつけた妻(ケイシー・ムーア)は「死ぬのを怖がってちゃ生きていけねえ」と返されるが、思えば先に見た『マイ・ブラザーズ・ウェディング』(感想)はその部分を広げた映画のようだ。死を直視するかしないかの境界にいる男の話。馴染めない存在を描くことでそのコミュニティが浮かび上がるという点も同じ、映画とは往々にしてそういうものかもしれないが。
そんなことあるのかと思う、妻が鍋の蓋に映った顔をふと気にする場面からの身支度にどこへ出かけるのかと見ていたらそれは部屋着で、「あなたは最近笑っていない、心の奥では幸せじゃないのね」とベッドに誘うための準備であった。しかし幾ら誘っても、夫は仲間に「女房にこきつかわれてるな」と言われる、別にこき使っているわけではないが雨が降るならやらねばならない屋根の修理のような類の家の仕事に黙って取り掛かるばかり。
これは冒頭「どっちが悪いとか仕掛けたとか関係ない、男なら棒でもレンガでも拾って弟を守るべきだろ」と息子を怒鳴る父親とその後に黙ってビンタする母親との間の亀裂がどういう世界で生じたかを描く映画と言える。夫は熱いカップにセックスを思い出すとうっとりし、妻の方は祖母に向けて愛が消えたとひとりごちる。そのどうしようもない亀裂が、部屋着とはやはり違ったイケてる服で出かけるも間抜けな理由で引き返した後の娘の一言で少し修復するというユーモアには、涙と笑いが絶妙に混じっておりぐっときた。