ハンサム・ガイズ


『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら』(2010年カナダ・アメリカ)の、都会の美人が田舎者でガールフレンドもいたことのない自分と根は同じで優しく最後には恋人になるという、お腹いっぱいで白ける要素が15年後のこのリメイク版にはない。ジェピル(イ・ソンミン)とサング(イ・ヒジュン)の二人も「おれたちになぜ彼女ができないんだろう」と話し合うが、ジェピルいわく「まず女友達からだ」「三人いれば花札にも酢豚の宅配にもいい」。女子大学生ミナ(コン・スンヨン)にサングが言う「友達になってくれてありがとう」にも恋人になりたかったけど…という未練は感じられない。エンドクレジット、「ジェピルとサングの家」(リメイク版では別荘じゃなく新居なのだ)で花札や酢豚を楽しむ三人のイメージは近年なら『マーダーズ・イン・ビルディング』といったところか。

怖い目に遭わされる側からすると加害者の外見など様々なのだから「怖そう」な人が実はそうでなかったというギャグはそもそも面白くないばかりか各方面に対して差別的に思えるので、そこはさらりと流して友情の方に比重を置いているのもよい。悪魔に取り憑かれて蘇った死人に襲われるのがこのリメイク版の特徴だけど、死ぬのは結局「友達を裏切る悪いやつ」。更には韓国映画らしく先輩後輩の関係が肝となっており、若者グループの中では後輩が先輩を苛め、警官コンビは先輩(パク・ジファン…勿論うまいけど、『裸の銃を持つ男』のO・J・シンプソンのほぼ再現にはZAZは唯一無二だと改めて思ってしまった、スタイルが違うわけだけど)が後輩(イ・ギュヒョン)にいばっており、そしてハンサム・ガイズは年上は「年上らしく」年下は「年下らしく」互いを思いやっている。「地獄におちても一緒なら楽しい」二人にずっと幸あれと思う。