ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング


「一人の命を助けようとして世界を危機に晒している」とガブリエル(イーサン・モラレス)が言う、ということはそうじゃないんだと映画としては言いたいわけで、このシリーズってイーサン(トム・クルーズ)が女を助けようと頑張って失敗したり成功したりする話でしょと思っている私に向けているかのように、愛する者と見知らぬ者のために影に生きて死ぬというチームの誓いに始まって終わる。しかし前作で「(イルサとグレースの)二人に何かあればお前を追い詰めて殺す、これは予言だ」と告げて成し遂げるって何なんだ、何かあればの部分がどうにもならないのは誰のせいなんだ、映画の作り手も含めて、と思ってしまった。異様に多いフラッシュフォワードが他者の予知なのか自身の意思による未来なのかという話である。

映画の言いたいことを汲めば、これはエンティティと全人類との闘い、すなわち観客も参加している闘いであり、「選択する」「役に立つ」という考えの悲しさの描写や、思惑に乗るな、分断されるな、パニックになるなといったそれらしいセリフが散りばめられている(ちなみにインターネットを見すぎるなとのセリフには多数派らしい言い様だなと思ってしまった、見なくてもいい人とそうじゃない人とがいるから)。ドガ(グレッグ・ターザン・デイヴィス)のキャラクターに顕著なようにエンティティをどう捉えるかで立場が決まるので、これまでのスパイものとは敵味方の意味合いも変わってきており、エンディングに至ってテーマ曲が何だか奇妙に私には響いた。

グレース(ヘイリー・アトウェル)は「エンティティを誰も制御できないなんて馬鹿な考えだと思わないか」に「潜水艦の乗組員に聞いてみたら」と返すが、沈没したロシアの「セヴァストポル」に侵入したイーサンが目にする乗組員の死体や挿入される彼らの死亡シーンは印象的で、生死に国境はないという今作のテーマに通じている。グレースが初対面の相手に単刀直入に話しかけたり(時には絵を描いて見せたり)ウィリアム・ダンロー(ロルフ・サクソン)の妻である英語を喋らないタペッサ(ドミニク・アベル&フィオナ・ゴードンの「アイスバーグ!」(2006)にも出演していたイヌイットの映画人、ルーシー・トゥルガグユク)とコミュニケーションを取ったり、パリス(ポム・クレメンティエフ)がフランス語でしか話さなかったり、言葉周りを開こうとする工夫が心に残った。イーサンとガブリエルの最終戦で二人の発している言葉が全く聞こえないというのも、周囲の音が煩くてセリフが分からないという既知の演出とは異なり、どこまでも通じ合わないことの表れのようで面白く思った。