サンダーボルツ*


フローレンス・ピューの顔がいいなと見に行ったらピュー演じるエレーナの顔で始まって終わる。それがどう、なぜ変わるかという話である。故ナターシャ共々姉妹というかまた女がケア要員なのかと見ていたら(冒頭だって「父親」のアレクセイ(デヴィッド・ハーバー)の方から会いに行くべきじゃ?)、その「キーパーになると言った」子どもの頃からの優しい心が伝播しての、仲間同士の助け合いの話だった。「最高にへんな任務」とのセリフがあったけど、クライマックスが皆でのハグなんだから。

エレーナいわく「私達は証拠でここはシュレッダー」での出会いの一幕、ジョン(ワイアット・ラッセル)の「おれには妻子がいる!」に女達は失笑。組み合わせと範囲によって多数派が少数派になるという映画にままある場面だが、そんなことを言うやつに「キャプテン・アメリカ」はそりゃ無理だと思っていると、既に妻子は去っていることが判明する。権力志向のヴァレンティーナ・アレグラ・「デ」・フォンテーヌ(ジュリア・ルイス=ドレイファス)はこんな奴らが共闘するわけがないと考えている。「ここ(アベンジャーズ・タワー)で数々の歴史的な闘いが行われた、まあ興味ないけど」とは私のように闘いというものに興味がないという意味じゃなく歴史を顧みないという意味なんだろう。

エレーナの「飛び降り」からの冒頭の一戦に、私もパーカーつきスウェットが着たくなる。映画を真似したくなるのは自明の理なんだから、女に求められる服装じゃない格好の女が映画に出るのは大事なことだ。一方で流れる後ろ髪で誰だか分かるバッキー(セバスチャン・スタン)を挟んでのヴァルも、原作に沿っているんだろうけど、髪には自身が出ているが…ボブ(ルイス・プルマン)を人は古典的な外見を好むからと金髪に染めさせておきながら自分には適用しないのが面白い…首から下で印象操作をする。目覚めた彼の前に現れる時の「優しく見える」ストールを部屋から出るや脱ぎ捨てるのがいい。

サンダーボルツというグループが活躍する一作目だと思っていたら、本作は5人がヴァルによって新しいアベンジャーズにされるのに終わる。エレーナはそれを「貸し」だとするが、ヴァルの行為は重大なものとは捉えられておらず、それどころか映画じたいが君は君だから素晴らしい、だからどんな名前でも君は君だよねと世界を丸め込んでいるように感じられてしまった。加えて人間を一瞬で影にするという原子爆弾を想起させる描写の、怖いけれども原子爆弾に比べたら全然怖くない、しかも「取り返しがつく」顛末が受け入れ難かった。