リボルバー


女の話ではないドラマ『ヴィンチェンツォ』(2021)でも結局一番心に残ったのはキム・ヨジンとチョン・ヨビンが対峙する場面だったと、この映画で冒頭以来初めて顔を合わせるスヨンチョン・ドヨン)とユンソン(イム・ジヨン)を見ながら思い出した(二組の年齢差もほぼ同じ)。既にそれぞれ男達との相談、指示、取引…色々を経ている二人がどうするかとスリルと期待が高まり、ここから話は俄然面白くなる。

「罪を被ったのに出所したら約束を反故にされた」という馴染み深い筋書きの映画の主人公が女性。見終わると元警察のスヨンが携え使いこなす警棒が欲しくなる。男がしていても何も感じないのに女がしていると真似したくなる。だから女が主役になるのには大きな意味がある。「メインキャストに女が二人(本作は三人とも言えるか)」「組織のトップが女」である作品からたまに感じるエクスキューズめいたものも本作には一切ない。

スヨンが家と「大きくもないけど小さくもない」額の金に執着するのはそれが自分の権利であり尊厳だから。「女は取り分を取り分だけきっちり取る」ことを表したラストシーンが見事。あれこそが信頼だ。当初は相手を探るようだったのが次第に自分を信じゴールだけを見据えたものに変わっていくチョン・ドヨンの目つきが素晴らしい。それに伴いユンソンの彼女への感情は「可哀想な女には弱い」からの「(指で)これくらいはオンニの味方」からの(あの女のどこがいいんだ?への)everything.に変わる。

(以下少々「ネタバレ」しています)

警察の同僚だったギヒョン(チョン・ジェヨン)とスヨンのやりとり…「お前はおれから奴を奪った」「そんなに恋心があったの?」。イ・ジョンジェ演じる窓際の、いや瀬戸際の、背中の男は『裏切りのサーカス』(2011)のコリン・ファースを彷彿とさせた。男ではないが女達に共有され大勢にもてた挙句に、面と向かってだが顔を撃たれて死ぬ。