▼劇場で見た一般公開作の中からお気に入り10作を見た順に。
コンクリート・ユートピア(感想)…私にとってこういうのが「完璧」に近い映画。
コット、はじまりの夏(感想)…学校の塀を飛び越えるコットの小さな後ろ姿があまりに鮮烈だった。
リトル・リチャード アイ・アム・エヴリシング(感想)…居心地の悪さを感じるために見なきゃならない映画というのがある。
RHEINGOLD ラインゴールド(感想)…リズム、スピード、ユーモア、全てが私好みでしびれた。
パスト ライブス 再会(感想)…どうしようもないことが優しい目線で描かれている映画。
異人たち(感想)…ラスト、そんな離れ業があるのかと涙がこぼれた。
エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命(感想)…女に始まり女に終わる映画、面白すぎた。
フィリップ(感想)…彼がそれをするのは、それしか出来ることがないから。その痛切さ。
ボレロ 永遠の旋律(感想)…ラファエル・ペルソナ演じるラヴェルが女達と関係を築き、繋がりを保ち、影響を与え合うという、「普通」だけど多くの男性にできないことが描かれている。
山逢いのホテルで(感想)…分かり合いながら手は伸ばし合えずにいる女達、そのうちの一人の物語。

▼大晦日に『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』を見た。
「映画なんて見た目ほど楽しくない」。私にとって今年は『ナミビアの砂漠』を中心に「映画より大事なものがある」と言ってくれる映画がやっと出てきた年なので、同じことを言っているこの映画で締められてよかった。主人公ローレンス(アイザイア・レティネン)の作中最後の、それから映画の終わりの、最初とは意味が変わったI Like Movies. に涙がこぼれてしまった。
(尤も例えば「映画作家ジャンヌ・モロー」で今年初めて見た『リュミエール』(1971)にもそれに繋がる要素はあったから、昔から言っている、あるいは言いたい人はいたのに、それこそまさに「映画だけが大事」な人達のせいで表に出てこなかったんだと思う)
ローレンスが、高校を卒業したら別の人間になると決意しておきながら地元のバイト先の上司アラナ(ロミーナ・ドゥーゴ)に惹かれていく過程が、私にはポール・トーマス・アンダーソンの『リコリス・ピザ』のオマージュなどというよりこれまでの映画の男女逆転版に感じられ、どこか爽快な気分になった。彼女をただただ捉えた告白シーンの撮り方は、カウリスマキの『希望のかなた』での難民カーリドの独白を思い出した。そこに彼女ら、彼らが込められているのだから作り手は余計なことはしない、いじらない、というような。