ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ア・フォレスト


フィンランド映画祭にて観賞。2024年フィンランド、ヴィルピ・スータリ脚本監督作品。最初に出る年号が「2022」であるのに、実に今の話だなと思う(制作に年数の掛かったドキュメンタリーを見ることも多いので。それはそれだけの時間が必要だからだけども)。挿入される1979年と1992年の若者達の森林保護活動の映像からは、その「今」が長い歴史の中にあることが分かる。

上映前のメッセージ映像で監督が言ってたように、まずは若い、特に女性の活動家を称える内容である。上映後のトークで監督が「主人公」と言っていた女性二人、イーダとミンカはテントの中で、どうしても向かい合わねばならない「年寄りの白人男性」について声がでかくエゴイストなだけなどと話す。その「年寄りの白人男性」である(しかしそこまで「声」のでかくはない)祖父や祖母との、ソファでのインタビューというか会話シーンが面白い。イーダは最初おじいちゃんにくっついて、ミンカはおばあちゃんと寝転んで。

オンライン会議の際、「セックスショップで買った、キャンディーみたいに繋いである水着」を壁に掛けたままだったのでオフにして外したが、相手がミソジニストの男性だと気付いて掛け直したなんて話もいい。それも活動だもの(その後ちゃんと水着のカットが入るのが「分かっている」)。水着といえばダンスを見ているかのような水中シーンは素晴らしかったけれど、樹木の間を潜り抜けたり歩いたりするのに肌や足を露出していて大丈夫かと心配になってしまった。映画の終わりの皆で木に登っている場面でも素足だったのでそういうものなのか。

女性がそうであるということは男性も「年寄りの白人男性」のようではない。男性に見えるメンバーがミーティングで編み物をしているのも今らしい。映画の終わりに収められた製紙会社での会議で彼らは自分達の話し合いの方法について説明するが、あなた方は活動家から罰金を取るつもりですかと質問したところで場面は切れてしまい、どうなったか分からずじまいだった。あのくだりをあそこで切った理由が、分かるような気がするも正しく知りたかったので監督に聞いてみたかったけれど(上映後にQ&Aがあったけれど)聞けず残念だった。