ガール・ピクチャー


フィンランド映画祭にて観賞、アリ・ハーパサロ監督2022年作。女子三人が金曜ごとの三度の冒険で新たな世界を獲得していく話。レズビアンの恋愛とアセクシャルの認識が描かれる。破壊的な行為をしてしまうとの告白に「あなたはそんなふうに見えない、きっと何か理由があるはず」と返す女性警備員の言葉が印象的で、作り手の目線なんだろう、自分があの年頃だったときと時代も場所も違うけれど帰りたくなるような温かさのある映画だった。

ミンミ(アーム・ミロノフ)とエマ(リンネア・レイノ)が店員とお客としてカウンター越しに出会う場面になぜだかすごくぐっときていたら、それは後者が言う「運命の出会い」だったから…では多分なく、これは大親友のミンミとロンコ(エレオノーラ・カウハネン)がカウンターのこちら側、あるいはこれもなぜだか「楽園の手前」なんて言葉がふと浮かんだ、序盤に下着姿で互いにお菓子を食べさせてもらったり化粧してもらったりしていたパーティに出掛ける準備中のミンミの部屋の中、から一線を越えたあちら側へ冒険する話だからだろう(エンドクレジット後はまたこちら側に戻って一息ついているというわけ)。

「(そんなにいいだなんて)どんなセックス?」とねっとり少々戯画的なそれの真似をしてからかうロンコにミンミが「そんなんじゃない、いや、ちょっとはそんなふうだけど」と返すのが面白かったものだけど、彼女とエマの初めてのキスにおいて、しっとりした後に離れて笑い合うのがいいなと思っていたら、セックスの時にもそうなのだった。ロンコが冒険の果てに知る、自身を真に満たすものもキスやセックスではなく気の合う相手とリラックスして笑い合う時間だった。ひりひりした要素はあっても基本的には笑いがあふれて、いやこぼれてくるのがよかった(同じユーロスペースで数か月前に見た『オルガの翼』(2021)も、あのような内容であっても女の子同士が笑い合う場面が印象的だったのを思い出した)。