ストレンジ・フィーリング アリスのエッチな青春白書


「未体験ゾーンの映画たち2020 延長戦」にて観賞。原題「Yes, God, Yes」、2019年制作。

全然こっちに語りかけてこない映画だなとぴんとこないまま見ていたら、それもそのはず、これは主人公アリス(ナタリア・ダイアー)が目覚めるのと同時に全てがこっちに流れ込んでくる、映画の作りと彼女の体験が重なってるという寸法の作品だった。

変な言い方だけど大変に構成が先に立っており、例えばとある理由で一人掃除をさせられるアリスがそんなことおくびにも出さない人々が実際にやっていることを見るはめになる(時に流しのゴミを手にしたまま!)なんて、言わんとすることは分かるけど、だから何?と思ってしまう。

それが逃げ出したバーで一席空けて…まるで昨今の映画館みたいに…大人の女性(スーザン・ブラックウェル)が話しかけてくるところで一気に抜ける。「サラダる」(字幕ママ)の意味を初めて知ったアリスの素晴らしい笑顔、ここですっとこちらに抜けてくる。

彼女は大事なことを教えてくれる。一、グミを一瓶食べたから地獄に落ちると思っていた(考えてみたら他のことだってそれくらい馬鹿馬鹿しいでしょう)。二、皆はただ、クソ頑張って生きているだけ(アリスは常に周りの反応を気にしていたものだ)。三、インターネットには気を付けて!

肌と肌との接触は文脈によっていかなるところへも滑り落ちる、ということを「グレース・オブ・ゴッド」を見て思ったものだけど、この映画を見てまたそのことを思った。