ローズの秘密の頁



ドラゴン・タトゥーの女」よりこっち、ずっと苦手だったルーニー・マーラとようやく和解できた(笑)ので感想を書いておく。この映画の彼女は素晴らしかった。


「現在」のローズ(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)の語る「過去」のローズの登場時より、演じるルーニー・マーラがいいなと思う。目に意思が感じられるからかな(「リスベット」の時よりも!)と考えていたら、浜辺で彼女と出会ったゴーント神父(テオ・ジェームズ)が「男の目を見てもいいのはその妻だけだ」と言う。そっか、私がこれまでの彼女を苦手だった理由は、その目が、言うなればこの映画に出てくる社会に「許される」目に見えていたからなんだなと分かった。


冒頭から繰り返される「私はロザンヌ・マクナルティ、マイケル・マクナルティを殺してはいない」という言葉の意味が分かった時には衝撃を受けた。自分の記憶を書き換えられることへの抵抗のしるしだったのだ。そういう意味では先月見た「殺人者の記憶法」と通じるところがある。尤もこちらの相手は個人ではなく、大きな悪の組織だけれども。終盤グリーン医師(エリック・バナ)に運転手が「教会ぐるみ」とはっきり言うが、このような社会的な問題を、過去のこととはいえこのように、言うなればロマンチックに描く映画って昨今珍しいと思う。