デュラン・デュラン アンステージド



楽家映画作家のコラボレーション企画、オンラインコンサート「Unstaged」シリーズの一つで、デュラン・デュランの「All You Need Is Now」ツアー(2011)のライブをデヴィッド・リンチが映像化したもの。デュランならかつてのファンも多いしと本作のみ日本で配給されたのかな。
「相乗効果」は感じられないので、リンチに思い入れが無くデュランが好きだった私としては、演出がライブの大きな邪魔になっておらず助かった(笑)とはいえ映像効果による楽しい瞬間も無くは無いので、「普通」のライブ映像が見たかったとも思わず。


まずリンチが登場して「仮想空間のコンサートをどうぞ」などと数分掛けて挨拶。2011年のアルバムからの冒頭の二曲は知らなかったけど、聴いてすぐデュランと分かる。新作に触れてもすぐそれと分かるという点でデュランとリンチは似ているなと思った(笑)
以降、サイモンが「この曲をライブで演るのは初めて、配信(本作)を見れば世界観が分かるよ」と言うのでどれどれと思っていると、「Blame the Machines」という曲の最中にMACHINEのアルファベットの形の木片が揺れている、全編そんな具合(笑)でも違和感は無い。そもそも80年代の曲などPVと結び付いているから、当時の曲が始まると頭の中にその映像が浮かぶけど、それらとリンチの手掛けた映像とがそう「遠い」ようには感じられない。距離はあるんだけど、妙な感じがしない。


デュラン・デュラン、全然現役だった。ルックスも「保ってる」し、サイモンの声も各々の演奏もいいし、初めて聴く数曲も、ベス・ディットーやジェラルド・ウェイを迎えての曲も楽しい(ケリスの顔の見ていて飽きないこと!)今世紀に入ってから新譜を買ってないけど、次のアルバムは聴きたくなった。音響の良さのためか「Rio」のイントロにはぶるっときて、ずっと体が震えていた。
この曲の終わり頃、それまでずっと神妙な顔付きだったニックがリラックスした様子を見せる。ニューロマおじさんになった彼の「不変」ゆえの愛らしさに胸打たれた。観客の様子を延々と映す数分の後、アンコールの一曲目は「Come Undone」。これが「デヴィッド・リンチ」という軽い名刺のような映像(ウインナーを焼く網やらぬいぐるみやらが出てくる)で、真っ白なニックの笑顔が合っていた(笑)


サイモンの「配信の仕組みなんていまだに分からないよ、ママ見てる?」のMCの後に始まるのが「Hungry Like the Wolf」というのには「萌え」た、だって若い男の子の曲だから。ちなみに映像は狼の顔がどアップでずーっと映り込んでいるというもの。
世界で一番美しいベーシストだったジョンは美しい中年男性になってたけど、去年の「Boyhood」のチャーリー・セクストンの衝撃には負けるなあ(なぜ比べるのか・笑)
ロジャー・テイラーはごく普通のおじさんだった、そんな彼も居てくれるのがデュランなんだな。