セインツ 約束の果て



ドラゴン・タトゥーの女」以来険悪なルーニー・マーラとの(私からの一方的な・笑)関係に変化があるかと思い出向いてみた。上記「ランナウェイ・ブルース」同様シネマート新宿にて、日に一度のスクリーン1での上映回を何とか押さえた。ロングショットが多いから、大きなスクリーンで見られてよかった。
舞台は70年代のテキサス、盗みをして生きるボブ(ケイシー・アフレック)とルース(ルーニー・マーラ)のカップル。子が産まれようとしていた時、二人は捕まり、ボブは刑務所へ。ルースは彼を待つ。


こういうテレンス・マリックみたいな見た目の映画、苦手なんだよなあ。まず画面が暗いので目が疲れる。映画か私かどちらかの側、あるいは双方に「科学的」な理由があるのか、「暗いものを見ると目が悪くなる」という説が私の中に染み込んでいるから偏見でそうなるのか、分からないけど。せめて子どもに本を読む場面くらい、明るくしてほしい(笑)
ともあれ今年の「アメリカ映画」なら例えば「MUD」みたいなケレンのあるやつの方が好き。最後の銃撃戦の差よ!


オープニングは「赤ちゃんが出来た」ことを告げる朝、次いで赤ちゃんをお腹に抱えた夜。後のボブと仲間の会話から、二人の間では「仲違い」と「仲直り」がいつものことだったと分かる。
冒頭の一幕で、ルースの「赤ちゃんが出来たの/怒ってる?」というセリフが心に残った。自分だけの意思で「母」になったのだろうか?「男」達が「保安官」「犯罪者」など自らの選択で何らかの役割を生きているのと同じく、彼女も「母」を生きている。だから作中「女」が一人だけでも、嫌な「特別」感が無い。とはいえ、男達がよってたかって一人の女にかかずらってるのは「キモイ」と感じてしまうけど…


逮捕される場面で、引き寄せられるように手と手を絡め合った二人は左右に引き裂かれ、後ろに家が残る。これは「象徴」。彼女が髪を短くしないのは、彼からの手紙に「髪が伸びた君」を想像するとあるからだと思う。彼が脱獄の後に訪ねた仲間の家で、カレンダーの写真に「今はこれが流行りなのか」と口にするのは、「今の彼女」を想像しているのだと思う。何も「説明」されない中、こんなふうに掴めそうな幾つかが浮かび上がっているのがいい。