創作落語「新・旧・現」未来予想図


三遊亭わん丈「自殺屋さん」
鈴々舎馬るこ「レバ刺し根問」
三遊亭円丈「円丈十三の危機」
三遊亭白鳥豆腐屋ジョニー」
 (中入)
柳亭こみち「姫の鴨」(三遊亭白鳥・作)
柳家小ゑん「稲葉さんの大冒険」(三遊亭円丈・作)
 (10/8・お江戸日本橋亭


このメンバーならと足を伸ばした、無限落語の会。開口一番のわん丈は年始にプークで観た以来、相変わらず卒が無い。「師匠には『お客さんが軽い気持ちで笑える話を作れ』と言われてるんですが、この噺のタイトルは…」なんて導入もうまい。
まずは5人でトーク、二つ目二人のみ着物姿。未だの夏服に親近感の湧く白鳥さんの、つい先程の三越での話に笑ってしまった。
馬るこさんは師匠に「(落語以外)何でも出来ると思われて」困った体験談を枕に、「先生」と「愚者」のやりとりによる「やかん」の改作。明確なキャラクターやストーリーがあるわけじゃないので、繰り返しに飽きてしまった。ちょっと勿体無い。
円丈が上る前に釈台が。座って早速「ここにちゃんとカンペが…」と傾けたところで客席に紙が舞い、怒られたわん丈がセロテープ台を持って飛んでくる。内容は「初めてやる、今日しかやらない、落語じゃない、単なる体験談、面白いと思っちゃいけない・笑」。いわく「危機とは岐路のこと」。4歳で高熱を出して幻覚を見たエピソードから、67歳になって気付いた恐ろしい可能性の話まで。本当につまらなかったけど(笑)師匠ネタ満載の落語話(内弟子は家畜だけど通いの前座は野生!)、夫婦観、懐かし話、ウツの話など、円丈テイスト満載だから、聞けてよかった。
白鳥さんは靭帯を痛めたことから糖質制限ダイエットをしているという話に始まり、出演中の池袋演芸場でのエピソードを枕に、そこで作った三題噺を披露。お題は「豆腐、二股、公家」。サミット椎名町店を舞台にした擬人化ウエストサイドストーリーという、いつもながらの内容だけど、やっぱり面白く、格が違うという感想しか出ない。


こみちさんは、この会に一度出たことがあると言いつつもまずは「自己紹介」。「アウェイ」ですねとしきりに気にしながらの船出。先日のネタ下ろしの際より随分こなれており、客席の空気もよかった。それにしても、「普通」の会じゃ楽しんでたって大方静かなのに、ここではそれが妙に感じられるんだからおかしなものだ。
トリの小ゑんは上るなり白鳥さんのネタに触れ「擬人化にもほどがある、せいぜいおでんまで(自作「ぐつぐつ」のこと)」。先代の小さんや馬生とその弟子達のエピソードに爆笑させられてたところに、私服姿の円丈が袖から出てきて「そろそろ噺に入って」。始まったのは円丈作の「稲葉さんの大冒険」。登場する植木屋さんの連れてる愛犬は「ロッキー」(円丈の飼犬の名)。彼が登場する部分のみ、どう聞いても「古典落語」。突き抜けた喬太郎バージョンとは違い、「普通」に演るだけで十分面白いけど、その代わり?全ての言葉に円丈が透けて見える。だって円丈が言いそうなことばかりなんだから(笑)


わん丈が帯を外して鞭にするのを始め、馬るこさんのパンダの笹食べ、円丈のあんドーナツ?白鳥さんは…全編そんな感じ、など色んな仕草が見られたけど、やっぱりこみちさんと小ゑんの二人には江戸の空気を感じた(笑)