君への誓い



チャニング・テイタムレイチェル・マクアダムス主演という、私のための映画(笑)とてもよかった。交通事故により夫との記憶を全て失った妻と、彼女と再び愛し合おうとする夫の物語。実話を元に制作されたそう。


映画は雪に始まり雪に終わる。冒頭、映画館から二人が出てくると「いつの間にか積もってる」場面の美しいこと、これ以上ないほどの幸せ。しかしラストシーンも負けてない、違う幸せにあふれている。チャニングの涙をたたえた瞳が素晴らしかった。「今日は違う店にしない?」とのセリフ、最後に流れる曲もいい。


「記憶を失くす」辛さが「分からない」ので、「知らない人と知らない家で暮らす」のが楽しそうに思われた。自分のつけてた香水を嗅いだり、カフェで「いつもの」を初体験したり。これ以上の「探検」ってない。帰るとチャニングがいるはで、私なら天国なのに(笑)
作中のペイジ(レイチェル)は向こうを向いていたり、振り返るかと思えば振り返らなかったり。どうしても夫のレオ(チャニング)に感情移入してしまい、もっと優しくできないの?と思ってしまう。その後、彼を部屋から追い出した彼女の「ごめんなさい…」というセリフにはっとさせられた。


この物語のポイントは、ペイジが「4年前」の前と後で「変わって」いたこと。「変わった」後の記憶が無くなったからといって、趣味嗜好が以前に戻るものなんだろうか?脳のことは分からない。作中彼女は「手は覚えていた」と言う。
ペイジと母親(ジェシカ・ラング)、父親(サム・ニール)、元婚約者それぞれとの、作中最後のやりとりがいい。「こうするのは、あなたのせいじゃなく、私のため」というセリフが印象的。
彼らは(たぶん母親以外は)ペイジが「元に戻った」と考えるが、そうじゃない。彼女は自分のことを「古くも新しくもない、ただの私」と表現する。そして「その私」を尊重してくれた相手を大事に思う。


「(私が)愛してたって証拠もないし」とは、考えたらおかしなセリフだ。しかし混乱している時に「自分」に頼ろうとするのは分かる。対してレオはボイスレコーダーの記録や「結婚式」の映像を持ち出すが、それらは意味を成さない。
ペイジがベーコンに手を伸ばし「君は菜食主義者だよ!」と言われる場面も面白い。結局彼女は笑ってそれを食べてしまう。人間って何で出来ているのか。