卒業の朝


卒業の朝 [DVD]

卒業の朝 [DVD]


2002年、マイケル・ホフマン監督作。
舞台は名門男子校(「現在」は共学になっている)。1976年の入学式、まずカメラに抜かれるのはジェシー・アイゼンバーグ、その隣にポール・ダノ。彼ら目当てで観たんだけど、これはケヴィン・クライン演じる歴史教師の物語。とある「問題児」(エミール・ハーシュ)を「更正」できなかったことを悔いていた彼が、25年後に当の本人から招待を受ける。


ハンダート(ケヴィン)は、初回の授業において、ドアの上に掲げた文章を読ませることにしている。「いかに権力を握ろうとも、社会に貢献していない人物は歴史に名を残せない」…だから「名を残す」ために「社会に貢献」せねばならないと。観ていて何となく反発を覚えた。ベル(エミール)を叱る際「アリストファネスいわく…」と引用するなど、その言葉にはどこか「借り物」感がある。「現代アメリカにおいて古代ローマの歴史を教える」意義を踏まえた信念を持ち、語り口はエネルギッシュ、いい先生だと思うけど、私ならそれほど受けたい授業じゃない。
しかし35年の教員生活、そして教え子と共に過ごした週末を経て、新たな学期に彼が掲げる文章には、文面は同じでも血が通っている。いい物語だなと思った。


教員と生徒なんて数年間の付き合いなんだから、やれることを一生懸命やるしかない。その中で教員の側も変わっていく。まあ、日本の教員の多くはこの作品に対し「ああいう学校は楽でいいなあ」と思ってしまいそうだけど(笑)