きみがくれた未来



公開初日、新宿武蔵野館にて観賞。夕方の回は10〜20人程度の入り。
昨年の私のベスト3に入る「セブンティーン・アゲイン」に続く、バー・スティアーズ監督&ザック・エフロン主演作。「17」にはかなわないけど、なかなか面白かった。結構凝った作りなんだけど、大仰じゃなく、さらっとしてるのが好み。


チャーリー(ザック・エフロン)はヨットで奨学金の資格を得て高校を卒業するが、車の事故に遭い、同乗していた弟サムを亡くす。それから5年、進学もヨットもやめた彼は、弟が埋葬されている墓地の管理人として働いていた。


町のおもちゃ屋の店員として、「JUNO」や「ジェニファーズ・ボディ」で印象的だったアジア系の女の子(名前調べたらヴァレリー・ティアンという女優さん)が出ていた。彼女の仲間も、ヒロインのテス(アマンダ・クルー)も、ザックを見ると髪をいじり出す。女の子をそういうふうにさせたり、テスに声掛けられて船のへりから落ちそうになったり、仕事場でガチョウ相手に大騒ぎしたり…という描写の数々が、嫌味なく「さわやか」なザックにぴったりはまっている。冒頭のヨットシーンは勿論、弟と雨の中ゲームに興じるのも、得意の体を使った場面として楽しい。そのうちパパ役としてこんなことするんだろうなあ、なんて思ってしまった。


話はいわゆる「ゴースト」もの。かつて「光を見た」(死にかけた)チャーリーは「心残りのため『こちら』に留まっている死者」が「見える」ともとれるし、全て彼の頭の中で起こった出来事と解釈することもできる。見えない誰かと話す彼を周囲は「イっちゃってる」と評すが、上記の通り「さわやか」なせいか、それなりに温かく受け入れられている。私からしても「異常」にも「気味悪く」も見えず、彼がそう言うなら、そう思うならそうなんだろう、という感じ。だってあの目を見たらね(とはいえ、いつか「異常」な人物の役をやったら面白いだろうなと思う)。
自分が散々「留まって」おきながら、事故に遭った他人に対して無邪気に「先に進まなきゃ」的なことを言ってのけるあたりも、ザックなら許せてしまう(笑)


テスがヨットの「世界記録」に「普通」に挑んでいるあたり、最近観た「アメリア」(感想)をふと思い出し、隔世の感を覚える。
また、ザックの母親としてキム・ベイジンガー、彼を救う救命士としてレイ・リオッタが出演してるんだけど、前者は艶が全くないし、後者は艶というか妙な空気がありすぎるので、救急車の中で二人きりになるシーンが怖かった(笑)