あの夏の子どもたち



ラストに流れる「ケ・セラ・セラ」に、なるほどその通りと思わされる。


冒頭、映画プロデューサーの父親が、2台の携帯電話とタバコを片時も放さず車を運転するシーンが長々と続き、はらはらさせられる。
予告編から想像してたのと違い、始めの半分ほどを占めるのは彼の日常。一日のほとんどを金策に飛び回っており、映画を担保にしたり差し押さえられたり、車一台の手配に困ったり、経費節約のために見習いスタッフを使って苦情が来たり。その合間に、家族との時間がある。「週末用の郊外の別荘」で、遺跡を訪ねたり、水浴したり。


彼が死んだ後、三人の娘たち(というか上の二人)に周囲の大人がかける言葉が印象的だ。
大きなショックを受けたであろうママも、娘にはいわく「死は人生の数ある出来事のひとつよ」。パパの相棒は「パパは君たちのことを思ってたけど、昨日は苦しくて一瞬忘れちゃったんだ。でももう苦しんでない」「(私たち、これからどうなるの?)君は若い女性に成長して、恋人を作るんだ」。


パリを発つ日、清算中の事務所に立ち寄ったママと娘たちの、笑顔とキスの嵐が印象的。
作中通して、出てくる女性たちの、普通っぽい体型に適当な服(ワンピース一枚に、肌寒ければ何か羽織ったり)が、いかにもフランスぽくて良かった。