E. YAZAWA ROCK


バルト9のロビーのでっかいスクリーンで予告を観て、興味を持った。以下の感想には余談多し。



矢沢永吉 RUN&RUN」('79)のプロデューサーが、再び現在の永ちゃんを追ったドキュメンタリー。私はヒット曲しか聴いたことないけど、楽しく観られた。永ちゃんいいなって思った。加藤ひさしがたくさん歌詞を提供してるの、知らなかった…。


冒頭、撮影スタジオそのままの部屋で目覚めた永ちゃんが、オレンジジュースを飲んで海辺を走り出すシーンが、BGM含めて、豪華なカラオケ映像という感じで、ちょっとびっくりしたけど、その後はリハーサルやライブの映像が盛り沢山で、面白かった。しかし忘れた頃にまたイメージビデオっぽくなる。ファンにはああいう需要もあるのかもしれない。それにしても終盤、自転車に乗った永ちゃんが親指立てながら通り過ぎるのをスローで捉えたシーンには堪え切れず笑ってしまった。


ライブのリハーサルにおいて、音はもちろん演出についても永ちゃんが一人で仕切っている様子は、「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」に通じるものがある。
もうひとつ「THIS IS IT」との共通点は、上映時に、あちらこちらで抑え切れない喋り声がしていたこと。普段あまり劇場に来ないお客さんが多いのかな?映画の内容によるけど、そういう気楽な雰囲気っていいなと思う(私は上映中、話したくてうずうずしてるタイプ)。


永ちゃんのライブというと、思い出すのがナンシー関の「信仰の現場」。このドキュメンタリーを観て、彼の存在が何となくクローズドに感じられる原因の一つは、同世代や同業者とのつながりが見えないことかも、と思った。作中でも、彼についてコメントするのはバックミュージシャンの面々のみ。実際は、最後に本人が言う通り、多くの人と関わりながら活動してきたんだろうけど、あまりにわけへだてなく人と関わっていると、逆に外からはそれが見えにくいものなのかもしれない。


74年生まれの私は、永ちゃんが言う「ロックには会場を貸してもくれない」時代を知らない。80年代半ばに「日本のロック」に目覚めた頃には、どこでだってロックが聴けた。永ちゃんのおかげかも、と思った。
お馴染みの、白いテープでぐるぐる巻きのマイクスタンドも登場。ロッド・スチュワートから永ちゃん(と西城秀樹)が受け継いだんだろうけど、80年代半ばにはもう色んなジャンルの人が使いこなしてたから、私としては、二つの時を埋める、日本人歌手のマイクスタンド使いの歴史をまとめたものが見てみたい。


永ちゃんは、いわゆる「Tシャツ」を着ない。白シャツのみだ。意外なことに?今のステージ衣装はどれも結構好み。そのセンスは一貫している。私も、持ってる服の数は多いけど、似たようなものばかりだから、勝手に親近感を覚えてしまった。



「『言い過ぎだ』っていうのは、大抵『ほんとのこと言うなよ』って意味なんだ」
 (永ちゃんって、こういう、ちょっとしたこと言うのがうまい)


▼作中出てくる、プレスリー没後20年記念フェスティバルに関するNHKのドキュメンタリー番組。日本のスーパースター・矢沢永吉が、現地では無名の出演者として苦労する様子と、本番での活躍ぶりが描かれる。今回の映画からも分かるけど、どこへ行っても全てを自分で直接手掛けており、エネルギッシュな人だなあと思う。



▼同じくNHKのドキュメンタリーによるキャロル。ライブでこんなの聴けたら最高☆
(埋め込みは無効のようなので、観るなら飛んで)



ジョン・レノンの「Rock'n'roll」みたいな、今の永ちゃんのカバーアルバムがあったらいいなと思ってしまった。