ムルと子犬


ムルと子犬 [DVD]

ムルと子犬 [DVD]


ほのぼのとした作品ながら、ペットを飼うことの空恐ろしさを感じてしまった…ので記録。


フィンランドに暮らす7歳のムルのもとに、父親が子犬を持ち帰る。「ミルスキィ」(嵐)と名付けられたその犬は、「最も凶暴」とされるコーカサス・シェパードだった。



バイオリニストの父親は、仕事先のベルリンで処分されそうになっていた子犬を可哀そうに思い連れ帰るが、犬種も調べなければしつけもしない。ムルが「ミルスキィのパパとママ」へ宛てた手紙に、サンタさんよろしく都合のいい返事をする(ミルスキィがムルの人形を壊してしまうと「まだ子どもだから大目にみてやって」という具合)あたりで、不穏なものを感じていると、案の定、大きく育った犬は家族の手に余るようになる。それでも父親は、しつけの重要性を説く専門家に対し「家族の序列だなんて…うちは皆平等です」と言ってのける始末。
ペットと一緒に問題なく暮らせるのって、たまたま条件が整った場合なんだなあと思わせられる。またペットであれ何であれ、新たな要素が加わることによって、人間関係って変化していくものだ。


ミルスキィの出自は、亡命者を捕えるために訓練される「スターリンの犬」。ベルリンの壁崩壊と共に役目を失い、処分されそうになっていた。作中では、そのことを知ったムルが学校の先生に「スターリンって何ですか?」と聞き、自分でも本で調べるが、話の展開にはあまり関わってこない。でもこういう犬が出てくる映画って、他にあったかな?


監督は「ヘイフラワーとキルトシュー」のカイサ・ラスティモ。私としてはこちらの方が、フィンランドの普通の家庭(姉の恋人いわく「中流」)の暮らしが垣間見えて楽しい。子どもの金切り声がうるさくてカンに障るけど(リアルではある・笑)


ムルの姉の「パンクロッカー」なボーイフレンドが可愛い。よく見るとデコも広いし大したルックスじゃないんだけど、純朴な感じが良く、忘れかけてた心のドアから久々に侵入された感じ(笑)