オー!マイ・ゴースト


オープニングタイトルにビートルズの「I'm looking through you」が流れるのが、タイムリーで楽しい。



歯科医のピンカス(リッキー・ジャーヴェイス)は、仮死状態を体験後、自分にしか見えない人々の存在に気付く。ニューヨークの街中をうろつく彼等は、現世に未練を残す「幽霊」たち。問題を解消してくれとピンカスを追い掛け回し列を成すが、人間嫌いの彼は相手にしない。しかし、とりわけしつこいフランク(グレッグ・キニア)の、「妻(ティア・レオーニ)の再婚を阻止してくれ」という頼みに乗ることに。



リッキー・ジャーヴェイス演じる主人公のヘアメイクや、マンハッタンの集合住宅の雰囲気も手伝って、全体の雰囲気はクラシカルな「幽霊譚」という感じ。
でも登場人物の言動は極めて現代的なコメディ仕様で、周囲に対するピンカスの言動などいちいち可笑しく(病院での受付での一幕など)、「人間嫌いの偏屈男」が次第に心を開いていく…という話にも関わらず、あんなに頭使って口も動かすなんて、人間嫌いというより、世の中とセンスが合わないだけじゃん?と思えてしまう。もっとも映画を観る身としては、必ずしも現実味を感じたいわけじゃないけど(笑)


ピンカス自身だけでなく、周囲の方も少々現実離れしており、例えば彼が仮死状態となるのは自身が掛かった病院の医療ミスが原因なんだけど、病院側とのやりとりは「麻酔医と話させろ!」「うちの病院は3回失敗するとクビになるので…(もうおりません)」という具合。「必ず同時に口を開く」シーンも笑える(ああいうスケッチってあるのかな?あの「先生」はきっとコメディアンだ)。調子のいいグレッグ・キニアも、その妻で一本気ぽい学者のティア・レオーニも、枠の中におさまってるタイプじゃない。
嫌な人って、普通の人って何だろう?ピンカスは嫌な奴というより、いつも苛々してるだけだ。そういうのが「変な奴」と呼ばれる。
…なんて、ケチばかり付けてるみたいだけど、キャストが良いので観ていて楽しいし、なぜかBGMを「実際に演奏してる人」がいるのも面白い。



「名案ってのは、最初は突飛に聞こえるものさ」
 (「名案」を聞いてつい驚いてしまった側が言うべきセリフ・笑)