トワイライト〜初恋〜



「僕の全てが、君を誘う罠…」


面白すぎてびっくりした。今年観た中で一番かも…



昔離れた父親と再び暮らすため、明るいアリゾナから暗く寂れたワシントン州の町に越してきたベラ。べちょべちょの地面、どでかいクルマ、おおざっぱな食事…最初は彼女のように「こんなとこ絶対いや!」と思ってたのが、最後には全てが輝いて見える。


吸血鬼の彼と人間の彼女の恋物語。ストーリーもキャラクターも、コンパクトに色んな要素がつまっており、画面や音や小道具もぴったりはまってて、観ていてとても楽しい。
「自分の(意図的に得たわけではない、生来の)特性が王子様を惹き付ける」「王子様が愛による自制心でもって本能?を抑える」というような「設定」は、私は嫌いだけど、この映画は、観てる間、そうしたことに目をつぶっていられる。そういう作品って貴重だ。


オープニングは主人公ベラの独白。何をすっとんきょうなこと言ってるんだと思っていたら、終盤、このナレーションは意外にところに繋がり、快感を得られる。
ラストもいい。これは続編がある!とわくわくさせられたところに、画面いっぱいに広がる、モノクロの「妄想」場面とタイトルロゴ。俗っぽいきらめきに胸が躍る。
色んなタイプの「男」が出てくるのも楽しい。吸血鬼一家をはじめ、冷たい血とはほど遠いタイプの、ネルシャツにジーンズの父親(私の叔父に顔が似てた。とてもいいキャラクター)、エキゾチックでしっかり者の幼馴染(恋人にするなら断然彼)、愛くるしいけど色気とは程遠い同級生。
そうした盛沢山の要素の中、馬鹿馬鹿しい設定や、若い二人の交わす唐突で稚拙なセリフのやりとりが、却って面白く感じられる。ちなみに「太陽にあたると肌が…」のくだりでは、全裸だと股間はどうなるのか気になってしょうがなかった(笑)


しみじみ思ったのは、「女のコ」…「女」は、緩急つけられると性的に盛り上がるってこと。セックスだって、一番分かりやすい盛り上げ方は、のろのろいくか突然いくかだ。
スーパーマンはロイスを抱いてベランダから夜空へ上っていくし、スパイダーマンはニューヨークの雑踏の中から二人きりの隠れ場に飛んでいく。そしてこの映画のエドワードは、ベラを背中に、湿地の森林のてっぺんに駆け上がる。吊り橋理論じゃないけど、「急」な移動は体と心を揺らがせる。
「緩」のほうは、勿論あの初めてのキス…ベタだけどどきどきしてしまう。
エドワードとベラが知り合ったばかりの校内でのシーンでは、やたら顔やその近くのぶれたようなアップが多いのも、得体の知れない相手と接近するどきどき感を高めていた。


吸血鬼一家の暮らす建物はとてもすてき。エドワードの部屋の窓が開け放たれてるのが何ともいえずいい。「月の光」で踊った後、二人はそこから濡れた森へ飛び出す。
じめじめした町らしい、窓の外から聴こえる雨の音や虫の声、ベラの雑貨ぽいファッション(プロムの際のアクセサリーの使い方とか)なども良かった。


同居人は、ラスト近くの二人の姿に「スターウォーズ エピソード2」の結婚式のシーンを思い出したそう。
エドワード役のロバート・パティンソンは、松山ケンイチみたいなタイプだなと思った。写真と予告編からは、魅力を感じるどころか薄気味悪く感じてたけど、映像に触れると惹き付けられる。たまに見せる笑顔も可愛かった。