「雄呂血」上映会



明治神宮内の神宮会館で、阪東妻三郎の「雄呂血」を観た。
火曜の夜に開催された、JAPAN国際コンテンツフェスティバル東京国際映画祭の提携イベントで、弁士の口演とオーケストラの生演奏つき。作曲・演奏は清水靖晃(と彼のオーケストラ)。
先日江戸東京博物館に行った際、企画展示「浅草今昔展」の活動写真のコーナーでマツダ映画社の名前を見つけ、後にウェブサイトをみてみたら告知があったので、申し込んでみたもの。


上映前にチャンバラ=剣つながりで「フェンシング王子」太田雄貴が登場、学生選手と対戦の後、三味線の音色に合わせて剣さばきをを見せてくれた。動きが速くて何をやってるか分からず、舞台の前にしつらえられたステージから落ちないかはらはらした。


この試合がアナウンス無しに始まるなど、イベントはシンプルな流れ。簡単な司会も務めるまだ若い弁士の挨拶はさほどこなれてなかったけど、フィルムが始まったら喋りが上手くて堪能した。曲も演奏も良かった。
淀川長治が、関東と関西では弁士の喋りの内容が違う(関東では「ドアを開けて出て行きました」というだけのものが、関西では「ドアを開けてしおしおと出てゆきました」となる)と言っていたのを思い出し、機会があったら色んな弁士の話芸に触れてみたいなと思った。


「雄呂血」は初めての観賞。
「無頼漢とされる者が必ずしも無頼漢でなく、人格者とされる者が必ずしも善人ではない」というテーマを掲げ、若侍の平三郎(阪東妻三郎)が些細なことから転げ落ちるように身を滅ぼしていく様を描く。平三郎のあまりの運の悪さに、また彼の正義感とこらえ性のなさゆえの要領の悪さに、途中から可笑しくなってしまった。「せめてお千代に…」のくだりでは同行者ともども笑いが止まらず。
ストーリーは平坦でシンプルだけど、映像に迫力があり面白かった。
もともと入っているセリフ用の字幕の文字も味わいがあり、所々字体を変えて表現していたりと見ごたえがあった。


今回の上映には英語の字幕も付いてたんだけど、これがしごくシンプルなもので、もしウチらが普段観てる洋画の字幕もあの程度だったら、まったくニュアンスが伝わってないじゃん!と愕然とした(笑)まあ時代劇の言葉が訳しづらいってのもあるけど…


「雄呂血」ってどういう意味なのかな?とリーフレットを見たけど、書かれていなかった。何なんだろう。