あぁ、結婚生活


ル・シネマにて観賞。


40年代、アメリカ。会社重役のハリー(クリス・クーパー)とパット(パトリシア・クラークソン)は仲のよい夫婦だが、どちらにも若い愛人がいた。ハリーは件の愛人ケイ(レイチェル・マクアダムス)との結婚を望むが、彼の親友リチャード(ピアーズ・ブロスナン)も彼女に心奪われる。



可愛らしいパンフレット(画像)や予告編に惹かれて観に行ったら、面白かった。シンプルなストーリーに、昔風の調度や衣装が楽しい。セリフは、私はもうちょっと猥雑なほうが好み(笑)
脚本や演技のおかげだろうけど、登場人物皆…正確には奥さん以外の皆に感情移入してしまった。とくに前半の語り手であるピアーズ・ブロズナンが「なにかが吹っ切れ」、「特別な日だから」とケイを誘いに行くシーンには心が躍った。「残り20分」の映画を観て、箸を使って中華料理を食べるというデートがとても楽しそう。
二人が懇意になるシーンが直接描かれず、何度目かのデートの別れのシーンで、当然そうだよなあと分かるのも楽しい。ブロズナンの、深々とタバコを吸う姿も素晴らしい。
でもって終盤、新しい恋人に励まされて男に別れを告げるという…何度も何度も経験があるけど(笑)…くだりの描写も良かった。彼女の感情が手に取るように伝わってきて。「あっけなかったわ」…って、絶対そうなる。


クリス・クーパー演じる夫と、パトリシア・クラークソンの妻、それぞれの演技もしぶくて楽しい。とくに運命の朝、夫を送り出す妻の笑顔など、何を考えているのか推し量るスキが全くないほど素晴らしかった。
しかし私からすると、パトリシア・クラークソンのたたずまいは当初から死体っぽいため(年齢のためでなく)、別荘のソファで愛人を待ちながら寝そべる姿など、死んでるのかと思った。フィルムノワールっぽい雰囲気だから、そういう狙いなのかな?


こういう映画を観るといつも思うんだけど、ああいう「きちんとした」調度や服装でもって、男の人と色々してみたい。レイチェル・マクアダムスみたいに見事には着こなせないけど、あこがれる。