デトロイト・メタル・シティ


予告編を見て、松山ケンイチってやっぱりすごいなと思ったので観に行った。面白かった。
コメディとは「設定」がコメディなのだから演技は普通でいいわけで、いかにも「コメディぽい」演技だと見苦しい。彼の演技はきわめて「普通」、たんにああいう格好をした人、の演技だから、観ていて気持ちがいい。



オープニングはスパイダーマンを思い出させるアメコミ風。「我等がDMC…」という字幕が流れるが、この映画はその言い草が受け入れられるように、すなわち観た人誰もが「DMCっていいよね」と思えるように配慮されている。クラウザーさんが東京駅からライブ会場まで走り抜けるのをファンがサポートするなど、いかにも日本のドラマっぽい、見慣れた感じのシーンも多い。
ああいう類の(例えば「デスメタル」をああいうものとして描く)フィクションは、漫画ならファンの服装などの非リアルさもさほど気にならないけど、映像化されると綻びが次第に大きくなってきていたたまれなくなるものだ。でも今作は色々深入りしないので見易かった。作中の音楽も聴きやすい。


原作を読んでいつも思っていたのは、キモい「ゴボウ男」でありながら、あのスーツを身につけるとそれなりの威圧感が出る体型ってありえるんだろうか?ということなんだけど、松山ケンイチが見事にそれを体現してたので感心した。ちなみに観賞後のトイレでは女性二人が「手がきれいだった〜」「たまらんね」などと話していた。


社長役の松雪泰子はブナンに役をこなしていた。顔や胸の肉の微妙な垂れ具合が良い。私が彼女を知ったのは15年前のドラマ「白鳥麗子でございます!」(高校生当時、教室での回り率ベスト10に入る漫画だった)なので、漫画の実写版に声を張り上げて臨む、というのがイメージではある。
DMCファンの男二人が大倉孝二岡田義徳というのも豪華。ドラマ「CHANGE」で、総理の木村拓哉とSPの大倉孝二が狭い喫煙所で顔突き合わせるシーンはよかった(余談だけど、私が木村拓哉を好きな理由の一つは、どのドラマでもタバコを吸ってるから)。


クラウザーさんの故郷である犬飼町の風景を見ながら、ああいうとこに住んでると、どこにどうやってCD買いに出るのかな?と思った。