王妃の紋章


新宿武蔵野館にて。駅側から看板を見ると、新しい色モノ飲食店が入ったのか〜と思ってしまう。



五大十国時代の中国。重陽節を控えた王宮に一族が集う。王(チョウ・ユンファ)と王妃(コン・リー)、三人の王子たち。王は妃に遅効性の毒を盛っていた。


時代や年代の異なる映画を観ると、それこそ「あんな箸使ってたんだ〜」など、たいてい「へ〜」と思わせられる部分があるものだけど、この作品はぴかぴか大仰なだけでそういう面白さは皆無だった。セットもCGも大味なかんじ。もっともそういうものは期待してなかったけど。
それでも冒頭、女官たちが雑魚寝状態から起き上がり、鐘の音に合わせて二人一組で身なりを整える様子を見て、私なら発狂しそうだなと思う。
知りたかったのは宮中の見取り図。どれくらい広いんだろう?家族それぞれがアジトを構えているようで面白い。「おなりー」と言わせるだけで互いにずかずか出入りしてるけど。


クライマックスは、予告編ではちらっとしか映らない、宮中での各兵力の戦い。一つの巨大なもののために個を滅して尽くす、それが中国なんだなあとあらためて思った。
王が王妃を殺害する理由(手間をかけて殺害する理由でなく)は結局よく分からなかった。


映画に妙齢の王子、というか男性が三人も出てくれば、どの人がいいかな〜と考えてしまうものだけど、この映画では誰にも心惹かれなかった。ヘタなことを言ったらどんな行動に出られるか分からない。ブナンに二男かな?などと思いながら観ていた。重傷を負った長男が儀式に臨む姿には、「死人を生きているように見せかける映画」…といっても「わらの女」などでなくまたしても「バーニーズ」を思い出してしまい、笑いが止まらなかった。
コン・リーのメイクは、眉や目は「どんな顔に見せたいか」が分かりやすかったけど、唇がほとんど元のままだったのに違和感があった。
同行者は、身体に廻った毒で汗をにじませる彼女を見るたび、湯船に入るなり汗の噴き出す私の顔を思い浮かべていたと言っていた。


観ていて楽しかったのは、闘いの後に人海戦術で死体や血を片づけるシーン。もっとも水でざーざー洗い流したあとに絨毯を敷くのは、湿ってだめにならないか気になった。