HEROES/ヒーローズ


HEROES/ヒーローズ」DVDのvol.7以降がレンタル開始。早速、現在借りられる最終巻のvol.9まで観た。
14話にはミッシー・パイルがゲスト出演。喜んでいたら、ヒロの友人アンドウを「泣いてみせたら簡単なもんよ」と利用する、普通の女の役で拍子抜けした。ただし、超能力はないけど結構な力で男を殴る(笑)
18話で初登場する組織の黒幕はマルコム・マクダウェル。厨房で背中から登場し、ポットパイを作りながら「人は、みじめなときギャンブルやセックスをし、幸せなとき食べるものだ」などと語る。
話は面白くなってきた。以前はやみくもに「世界を救う」ばかり言っていたのが、次第に各々がそれぞれの事情・信念・利害により動き出し、ピースがはまっていく。ちなみに私は、非常に個人的な理由で行動する、クレアのパパが大好き(笑)ただしアメリカらしく?大雑把に都合のよい超能力者が出てくるのはつまらなく感じる。


HEROES / ヒーローズ DVD-BOX 2

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ミッシー・パイルに中国人と間違えられたヒロ(マシ・オカ)は「僕たちは日本人だ」と主張する。それにしても、彼とアンドウのやりとり…例えば「お前のことを信用してきたんだから、今度はお前が俺を信用する番だ」というセリフなど、日本人なら書かないよなあと面白く思う。


ヒロの「やったー!」という決めぜりふはマシ・オカの案だそうだけど、作中、彼がへんな漢字の熟語(何だか忘れた)が書かれた服を着ているシーンがあった。
ハリウッドにおけるアジア人の扱いを時代順に追った「イエロー・フェイス」には、「撮影中に意見や文句を言えるという条件を契約に盛り込むことができるアジア系俳優はごく一部」と書かれている。これは「ブラック・レイン」の出演依頼を受けた小林薫が、製作側の不勉強を理由に断ったくだり。この本が書かれたのは92年、それから16年経った今も「ヒーローズ」に出てくる日本はやはり妙ではある(大体「アンドウ」が下の名前なんだから)。



活動基盤が母国にある小林薫のような役者は仕事を選ぶこともできるけれど、本書の冒頭に出てくる…東洋人が進出し始めた頃のアンナ・メイ・ウォン(「上海特急」でディートリヒと共演した女優さん)などは、帰る場所を持たない中国系三世であり、常に自分の役に不満を持ちながら仕事をしていた。中国では「アメリカ的」すぎると非難され、ようやく満足できる役にめぐりあうも演じることはかなわず病死する。当時も今も、マイノリティ系の俳優は、ステレオタイプの役であれ必死に取り合わざるを得ない。そして作品は残る。


個人が何を感じ、考えたかはよくも悪くも社会に影響を及ぼさない。たとえば不満を持ちながらでも結婚生活を続けていれば、死んだ暁には「夫婦だった」という事実が残る。もちろん大切なのは日々の自意識だけど、社会に表明したことは自分にも還ってくる。まあ、自身を潰さずに行える人だけがそうすればいいとも思うけど。


…というのは余談で、私はハリウッド映画などに見られる「へんな日本」に腹は立たない。面白く思うだけだ。日本から出ておらず嫌な経験をしていないからというのもあるだろう。楳図かずおの昔の恐怖漫画を読んで「女ってこわいなあ」という感想を持つようなものだとも思う。


話は戻って、「HEROES/ヒーローズ」のサウンドトラック発売のニュース(bounce.com内当該ページ)。ジザメリが再結成してたとは知らなかった〜。プロデューサーのアラン・アーカッシュ(…といえば「ロックンロール・ハイスクール」)や脚本家が執筆の際に聴いていた曲の数々ということで、ちょっと聴いてみたい。