川崎市市民ミュージアムにて観賞。
「少女漫画家」23人の原画・原画ダッシュ(竹宮恵子などにより開発された複製原画)や各種資料、本人によるゆかりの品をデビュー時代順に展示したもの。手塚治虫に始まる男性作家、わたなべまさこ、牧美也子などを経て一条ゆかり、竹宮恵子、山岸凉子、萩尾望都、そしてくらもちふさこ、岩館真理子、吉田秋生、最後に今市子、よしながふみなど…という流れ。
お馴染みのページの原画がばんばん展示されているのがまず楽しい。里中満智子の出品していたネームが、チラシの裏に書かれてたのが可笑しかった。
一見あっさりと、しかし丁寧に時代を切り取った展示内容を見て、「戦後少女マンガ史」にも書かれてるように、かつては大人の教育手段でもあった児童文化の一つが、「読み手が描き手になるという渾然一体のユートピア」として花開いていく様を感じた。
- 作者: 米沢嘉博
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/08
- メディア: 文庫
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以下ファンサイト管理人として記録(って数年更新してないけど…)。
岩館真理子の位置は、陸奥A子に終わる70年代に続く、くらもちふさこと佐藤史生の間。
展示は「白き夜に青く輝く」(05年)「見上げてごらん」(06〜07年)のカラーイラスト&原稿の原画・複製と、後者のページを例に取り上げた解説「少女マンガの内面描写」、ヤングユー誌のふろく「ややちゃんカラーシール」(06年)。ちなみに解説とは、少女マンガ独特のコマ割りに関するもの。「主人公のモノローグ」と「彼女宛ての手紙の文章」が同時進行することで複雑な内容が理解できるようになっている、という例。
展示会について知った際、岩館真理子がこうした企画に出品するということにまず驚いた。訪れてみると、例えば隣のくらもちふさこが(観る側にとっては当然と思える)「いつもポケットにショパン」と「天然コケッコー」を出しているのに対し、(観る側にとって代表作とは言えない)近作ばかりの出品。自身の過去の作品にネガティブな…裏を返せば常に惑っている、常に主観の人である、常に「今が一番」である岩館真理子らしく、感慨深かった。
購入した図録には、展示2作のタイトルページ用カラーイラストを収録。インタビューはなし。