「少女マンガパワー!」展


川崎市市民ミュージアムにて観賞。
「少女漫画家」23人の原画・原画ダッシュ竹宮恵子などにより開発された複製原画)や各種資料、本人によるゆかりの品をデビュー時代順に展示したもの。手塚治虫に始まる男性作家、わたなべまさこ牧美也子などを経て一条ゆかり竹宮恵子山岸凉子萩尾望都、そしてくらもちふさこ岩館真理子吉田秋生、最後に今市子よしながふみなど…という流れ。
お馴染みのページの原画がばんばん展示されているのがまず楽しい。里中満智子の出品していたネームが、チラシの裏に書かれてたのが可笑しかった。
一見あっさりと、しかし丁寧に時代を切り取った展示内容を見て、「戦後少女マンガ史」にも書かれてるように、かつては大人の教育手段でもあった児童文化の一つが、「読み手が描き手になるという渾然一体のユートピア」として花開いていく様を感じた。

戦後少女マンガ史 (ちくま文庫)

戦後少女マンガ史 (ちくま文庫)

本書は著者が「少女マンガに関する情報を、時空間に沿って組み立てた」もので、時折男性目線で語られる。よって、例えば今回の展示会の目録に収録されているインタビューなどで、作者側の意識を知るのも面白い。読み手だった頃の「少女マンガ」に不満を抱き、自身が納得できるものを描こうとデビューした例も多い(里中満智子一条ゆかりなど)。


以下ファンサイト管理人として記録(って数年更新してないけど…)。
岩館真理子の位置は、陸奥A子に終わる70年代に続く、くらもちふさこ佐藤史生の間。
展示は「白き夜に青く輝く」(05年)「見上げてごらん」(06〜07年)のカラーイラスト&原稿の原画・複製と、後者のページを例に取り上げた解説「少女マンガの内面描写」、ヤングユー誌のふろく「ややちゃんカラーシール」(06年)。ちなみに解説とは、少女マンガ独特のコマ割りに関するもの。「主人公のモノローグ」と「彼女宛ての手紙の文章」が同時進行することで複雑な内容が理解できるようになっている、という例。
展示会について知った際、岩館真理子がこうした企画に出品するということにまず驚いた。訪れてみると、例えば隣のくらもちふさこが(観る側にとっては当然と思える)「いつもポケットにショパン」と「天然コケッコー」を出しているのに対し、(観る側にとって代表作とは言えない)近作ばかりの出品。自身の過去の作品にネガティブな…裏を返せば常に惑っている、常に主観の人である、常に「今が一番」である岩館真理子らしく、感慨深かった。
購入した図録には、展示2作のタイトルページ用カラーイラストを収録。インタビューはなし。