再会の街で


マンハッタンに暮らす歯科医のアラン(ドン・チードル)は、街で大学時代のルームメイト、チャーリー(アダム・サンドラー)を見かけて声をかける。彼は911テロで家族を失っていた。その様子を普通でないと感じたアランは、彼のもとを訪ねては昔のような時間を過ごすようになる。



ドラムを叩くアダム・サンドラーの姿に「ハードロック・ハイジャック」(94年)から時の経過を感じつつ…(笑)自分だってチャーリーにも、アランにも、ドナにもなりうるんだと(アランの奥さんにはなれないかも・笑)思った。
アランはチャーリーに「少しでもよくなれば(be better)と思って」と言うけれど、よくなるってどういうことなのか、この映画ではある種の「解決」が呈示されるけれど、いろいろ考えさせられた。
先日テレビをつけたら、うつを扱った番組に山本文緒が出ていた。この人は名前しか知らないけど、体験談を語りながら「この病気の人は皆以前に戻りたいと言うが、戻るということはありえない、違う自分になるんだ」と言っていた。私もよくそう思う。人は「戻る」ことはできない、変わってゆくのみだ。そういうことを思いながら観た。


チャーリーは、かつて家族と暮らした自宅で、日々カウチに座りゲームをして過ごす。
台所は(管理人いわく)「1万6000回のリフォーム」のおかげで使えるどころじゃないし、食事はどうしてたんだろう?アランと友達になったから、ああして外食をするようになったのか、それとも以前は食欲がなかったのか。眠るシーンもなかったけど、ちゃんと寝られていたんだろうか。服装や髪形についても、昔のものを引っ張り出して着ているのか、新たにああいうものを買い求めたのか、髪はどうやってあの長さを保っているのか、気になってしまった。


(これから観る人は知らずにおいたほうがいいけど→)マンハッタンの街を流して見せる、最初と最後のシーンがよかった。冒頭はチャーリーが、ラストではアランがスクーターで走ってゆく。
それから、冒頭から活躍する、歯科医院の受付の女性が良かった。ああいうふうにやっていけたら楽しいだろうなあと思うし、ああいう人って必要だ。