王の男


12月にオープンした新宿ガーデンシネマにて観賞。傾斜が緩くてちょっと首が疲れた。でも恵比寿行くよりラクだから嬉しい。来月バルト9が出来たら、明治通りのこっち側だけでほとんどの映画が観られちゃうかもしれない。



16世紀初頭。漢江の都にやって来た旅芸人のチャンセンとコンギルは、悪評高い王とその愛妾ノクスを茶化した芝居で人気を博すが、侮辱罪で捕らえられてしまう。しかし機転を利かせて王を笑わせ、お抱え芸人として宮廷に暮らすことに。たらふく食べつつ芸人としての信念は貫く二人だが、笑う事を知った王の暴政はエスカレートし、周囲の不穏な空気は高まってゆく。
(昨年から何度も予告編観て「色気と笑いで王の寵愛を得ようと張り合うライバル同士の話」だと思ってたのが、全然違ってたので驚いた…)


冒頭、田舎で興行を行っている二人。コンギルが足の裏から登場する。綱渡りだ。
女形の彼は色白で、王が見惚れるほどの美しさだが(私にとってはチャンセンの方が美しいんだけど・笑)、白い足袋の裏は芸人らしく汚れている。容姿とのコントラストがエロティックに感じられる。
チャンセンの足は勿論、いつも汚い。彼は最後に一度だけ、裸足で綱渡りをする。捕らえられていた後だから当然だけど、このときの彼は(ネタバレ→)盲目になっているから、足裏で感覚をつかめてよかった(←ここまで)などと思ってしまった。
夜ごと王に呼ばれるコンギルを横目に苦しむチャンセン、二人の関係はプラトニックなもの。同じむしろの上で、別々の布団にくるまって寝るシーンが印象的だった。


打楽器や仮面、綱を使用した「芸」のシーンがとても楽しかったです。イモだけ喰ってあの躍動感。芸人仲間で、お面を作るなど準備をするシーンも興味ぶかい。
それから、芝居の際には宦官役が股に「無」、宮廷の狩で獲物役になる際にはそれぞれ「猿」「鶏」などと書いた布をゼッケン状に着けるんだけど、「芸人は文字が読めない」のに漢字は知ってるの?そこんとこよく分かんない。
韓国人俳優のことは知らないので、チャンセンを演じるカム・ウソンの顔は「北斗の拳を演じている江口洋介」にしか見えなかったけど、動作がとても好みだった。とくに歩き方。ちょっと上から捉えたアングルが最高。
セットも豪華で、衣裳の数々が面白く、宮中が喪に服している際の格好が良かった。日本人の目から見たら牛の刻参りみたいなカッコ。同行者は生成と言ってたけど、私には真っ白に見えた。どっちだったんだろう?


王は、二人の芸に大笑いしつつ「芸人ごときに何が分かる」と言う。確かにチャンセンは、都にやって来た当初、王の愛妾の名すら知らない。しかし二人を茶化すことはできる。なんでも問題は、単純なことなのだ。
そうそう、王が、廊下の桟を指でさーっと流しながら歩くシーン、私はいまだにあれに近いことをしてしまう。「ウチに帰ったら手を洗いなさい」だ。