トリスタンとイゾルデ



暗黒時代のイギリス。イングランドの兵士トリスタン(ジェームズ・フランコ)は、瀕死の重傷を負ってアイルランドに流れ着き、王妃イゾルデ(ソフィア・マイルズ)に救われる。若い二人は愛し合うが、やがてイゾルデは、トリスタンの育ての親であるマーク候のもとに嫁ぐことに。


(以下、少々ネタバレあり)
レディスデーの夜にメディアージュで観たのですが、客が、ウチラ入れて4人しかいなかった。でも面白かった。
昔の話なんで、何もかも「素朴」なのがいい。例えば戦闘の作戦は「まず俊足の二人が…」って、トリスタンとその仲間が、自らの脚力でもって敵をおびき寄せる。馬で追ってきたところに、隠れてた兵士達が…シンプルながら鮮やかで、目を奪われる。戦闘シーンについては、ハード面だけでなく、精神的な駆け引きもさらっと取り入れてて、飽きさせない。
木や石で出来た殺風景なお城も魅力的で(イゾルデの父親が、寒々しい海辺の小屋で偉そうにしてるのも良い)、最後にトリスタンが傷を負いながら守るのが○○というのもロマンチック。原作もそうなのかな?岩場に匿われるトリスタンの、緑のセーター姿も可愛かった。
それから、色んな「音」がとても心地よかった。枯葉を踏みしめる音、火のはぜる音、中でも私の好きなのは、「木」のたてる音、とくに、木の橋を渡る足音。観終わって劇場をあとにしたら、お台場の、いちおうウッドデッキに出たので、歩きながら思い出してた。昔飼ってたうちの犬は、橋の上に差し掛かると、下の「空洞」を感じるのか、後ろ足を踏ん張って動こうとしなかったものだ、あんな橋、絶対渡らないだろうなあ、なんて。


ゾルデの侍女は「若気の至りだったんです…」と言うけれど、若く美しく真面目な二人が出会えば恋におちる、それでじゅうぶんだ。
それにしても、トリスタンを演じるジェームズ・フランコは、細こかった頃のヒース・レジャーみたいに愛くるしいし、マーク候はマーク候でルーファス・シーウェルがシブいもんだから、愛する人がいながら他の男性と…とはいえ、昔の少女漫画みたいなもんで、どっちに転んだっていいじゃん?というかんじ。
ゾルデを乗せた船が、マーク候のもとへと川を下ってゆく結婚式のシーンがとても綺麗で、このあと、愛する男の前で他の美男に抱かれるのかあ、とかるい性的興奮を覚えてしまった(ここはあえて抱かれる、としておく)


ちなみにトリスタンの少年時代を演じたのは、「ラブ・アクチュアリー」でリーアム・ニーソンの息子を演じたあのくるくるお眼目の子。私は子役の顔はめったに覚えてないんだけど、すぐ判った。あんまり可愛くて。