ヨコハマメリー


伊勢崎町に立ち続けた白塗りの娼婦、通称「ハマのメリー」にかんするドキュメンタリー。→公式サイト


主に、かつての彼女を知る人々の語りによって構成されているのですが、今は駐車場となっている「根岸家」の間取りを二人の紳士(服装やら目つき、語り口などがいかにもで楽しい)に尋ねる場面で、インタビュアーやら音声さんやら、若い作り手側の姿がちらっと映りこんでおり、作中これまでみてきた人達に比べて、なんて若いんだろう、なんてまだ何もないんだろう、と、思ってしまった。時を生きるということは、ただそれだけで、なんて「実」であることだろう、と思った。私は「生活」をしたい。

彼女は、どんなことにも名文句を引き合いに出す夫に、腹をたてていた。それらの言葉が彼女と生活との間にたちふさがることが、実に嫌だった。それの働きは、ただ犯すことだけだった。これらの既製品の名文句は、あらゆる生きものから、生命の液を吸い取るのであった。
   「チャタレイ夫人の恋人」(新潮文庫刊)