ユー・キャン・カウント・オン・ミー


神はサイコロを振らない」→「一軒屋で暮らすマジメな姉と生活力のない弟」というんで、これを思い出し、ビデオ観返しました。2000年アメリカ映画。



幼い頃に両親を亡くしたサミー(ローラ・リニー)とテリー(マーク・ラファロ)の姉弟
町に留まったサミーは銀行に勤めながら未婚の母として一人息子を育て、居場所も定まらないテリーからのたまの便りを楽しみにしていた。
そんなある日、テリーがふらっと帰ってくる。目的はお金の無心。せっかくだからと息子の送り迎えなどを頼むが、頭の痛い問題ばかり起こされ…


見るからに生真面目なサミーは、毎日、白か薄いピンクか薄いパープルのゆったりしたブラウス、同じくゆったりした膝丈スカートという、私なら着ていて全然心が弾みそうにない格好。休日でも変わらない。久々に会った弟には「仕事なの?」「今日は土曜よ」「だって、ちゃんとしたカッコしてるから」…などと言われる。
支店長とひょんなことから男女の仲になってしまった翌日も同じような格好。ただし髪だけはあげている。
(ちなみにこの不倫相手の上司を演じているのがマシュー・ブレドリック。顔見るだけで可笑しい)
弟のほうは、こちらはこちらでシャレ心など全くなく、Tシャツやトレーナーに、腰のところがゴワゴワふくらんだ(イメージ伝わるかな)ジーンズ。ルックス的には、冴えない役柄のときのホアキン・フェニックスといったカンジかな…


地味な内容、演出だけど、これもまた「映画っていいなあ」と思わせられる一作です。
姉と弟、どちらかの視点で物事がドラマチックに描かれるわけではなく、どちらがいいとか悪いとか考えるはめにもならない。サミーと支店長のベッドシーンも、大仰なわけでもなくしみじみしているわけでもなく、ごくごく普通に、生活の一部として描かれる。
二人が暮らす一軒屋も、ほんとに普通の家、風呂場の白い壁に一筋水色のタイル、青いフェイスタオルはああ、いちおう色合わせてるのかなあ、とか思ったり。でも居心地はよさそうで、ちょこっと居座っちゃおう、という弟の気持ちもわかる。


バスで終わる映画って色々あるけど(私が一番に思い出すのはデヴィッド・アークエット&ルーカス・ハースの「ジョンズ」。そう好きな映画ではないけれど、膝折って座ってるルーカスがカワイイので)、この映画もそう、ただ地味な木々が車窓を流れるだけなんだけど、心に残ります。