ぼくは怖くない


昨年公開されたイタリア映画「ぼくは怖くない」観ました。

ぼくは怖くない [DVD]

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南イタリアの小さな村落。10歳のミケーレは、遊び場の廃屋で、穴に閉じ込められている少年をみつけた。翌日からこっそり食べ物を持っていくが、大人たちの会話から恐ろしいことを知ってしまう。
山岸凉子の「鬼来迎」みたいな話かな?と思ったら、違ってた…



見渡すかぎり広がる、金色の麦畑。
冒頭、その中を駆けて遊ぶ子供たち。のどかだなあ、でも皆やたら力一杯走ってるなあ、と思っていると、ボス格の男の子が、でぶっちょの女の子に、かけっこの競争に負けた罰として「アソコを見せろ」なんて言う。
たった5軒の村、大人たちは否応なく助け合って生活しているが、暮らしは厳しい。子供に対してもつい気まぐれに当たってしまう。率直に言って、私ならあまり帰りたくない家だけど、子供たちは皆ごくごく普通に、遊んで食べて、暮らしている。更に子供には子供の世界、ボスの男の子なんて、いばっちゃってイヤなやつ!と思うけど、皆はさほど苦にもしてなさそうだ。たくましい。
主役のミケーレくんは、ランニングシャツとブリーフの似合う美少年。これが映画デビューだそうだけど、きっと見目麗しい男性に育つことと思います。母親への思い、友人との確執、見知らぬ大人への恐怖や嫌悪、好奇心、大きな目を見開いて、いろんなものに立ち向かう姿が素晴らしい。
印象的な場面もたくさんあって、面白かったです。


見所のひとつは、次々出てくる動物たち。ミケーレの部屋を朝訪れる小鳥、暑さにへばるヘビ、倒れた顔にたかる蟻、ひび割れた地面を横切るネズミ(?)、檻の中で騒ぐブタ…子供の頃、そろばん塾の帰り、友達と二人でたんぼの中を近道してたら、突然ヘビが現れて、大騒ぎで逃げ帰ったのを思い出した。
でも、早くにベッドに入るミケーレは、夜の動物は見たことがない。だから、決意して家を抜け出すとき、その神秘的なものたちに向けて、自作の呪文を唱えて無事を祈る。「夜に起き出す、子供の知らない動物たちよ、あの少年の眠りを守りたまえ」…
その他いつもながら、こういう映画みると、食べ物が気になる。ママが焼いたほろっと崩れそうなチーズケーキ、一軒だけのお店で売ってるドーナツやキャンディー、味のなさそうなパン。朝の食卓でミケーレの前に置かれた大きなカフェオレボウル?の中身がよく見えなかったのが残念。
冷蔵庫の中にはトマトしか入ってなかったりするけれど、質素ながら、美味しそうなものがたくさんありました。


母親役の女優さん(アイタナ・サンチェス・ギヨン)は、名前知らなかったけど「雲の中で散歩」でキアヌの相手役だった人。クリスチャン・ベールの「マシニスト」にも出てるようなんで、公開が楽しみ。