今市子「孤島の姫君」


朝日ソノラマから出ている短編集(ASIN:4257721995)。おすすめいただいて、さっそく購入してみました。
件の「沈黙」は、神によって二つに分断された世界における、コチラ側「沈黙の国」が舞台の物語。向こう側「暗闇の国」からある日旅人がやってくる。主人公?のニザートは、不器量なため結婚をあきらめて狩猟に精を出していたが、旅人はなぜか彼女を美しいとほめたたえる…よく出来た構成に適度なお笑いがまぶされ、とても面白いです。
ネタバレせずに言及するのはちょっと難しいのですが、漫画の出来とは関係なく、この作品をメタ的に考え出すととまらない。あるものを、ある人はAと、他の人はBと認識してた場合、絵がAを表現しているというのは、つまりはどういう意味なのか?更に読者がどう認識するかってことまで考えると、もう無間地獄。
たとえば大島弓子綿の国星」は、自分は人間になると思っているネコが「耳をつけた人間」のカタチで表され、彼女が「ネコは皆いつかは人間になる」と思っているから?まわりのネコも皆そのように描かれてるわけだけど…大島弓子の場合は、それをそうと表現するのに、それ以上の意味はないから、比較にならないか。今市子の場合は「認識の違い」が主題なので、色々考えちゃう。まあこれは漫画ってものが常にはらんでる問題なわけだけど。
あとまあ、結局「美人が選ばれて幸せになった」ってハナシじゃん!と思ったり…(笑)


ちなみに久々に新宿の山下書店*1に行ったのですが、ココ、私は欲しい本がいつもみつけられません。配置がわかりづらいし、まっとうなのが意外と置いてなかったりするし(売場狭いから仕方ないけど)、日常的に使える本屋じゃないよね。
とはいえ高階良子に棚3段さいてるという有り得なさにはいつも感動するんだけど(笑)今回は直筆ポップまであってびっくり。だって私の世代の女子にはちょっと特別な漫画家じゃん?じかに絵見られて嬉しかった。

*1:漫画家直筆のブツや店員さんの気合入ったポップが並ぶ、都内の漫画読みにはおなじみであろうお店。ハチクロ発売時など毎回プチ祭り状態